くらし ふるさとねやがわ 第78回

■「楽しみは無限大」
自転車旅で世界を走破

アウトドア・アドバイザー
瀬戸 圭祐(せと けいすけ)さん(65歳)

中学生のときに自転車旅行の楽しさに目覚めて50年余り。国内にとどまらず世界の大山脈を走破し、アルプスや西ヒマラヤでは愛車を押して氷河を踏破した冒険家でもあります。

◇中学生で初の自転車旅行 駅舎などに泊まり国内走破
市立第五中学校に通っていたときに時刻表を見て旅行計画を立てることが流行。「自転車ならお金もかからない」と1年生の春休みに1泊2日の旅を計画し、淡路島を一周したのが初めての自転車旅行でした。
「新聞配達で旅費をため、体力をつけるために自転車に乗らずに走って配りました」。高校生のときには2度北海道へ。仲間内で〝ステーションホテル〞と呼んでいた駅舎にも泊まりながら全国を巡りました。

◇ロッキー山脈縦走5000km スイスの氷河では九死に一生
大学1年生のときに「現在は禁止されていますが、富士山の山頂に自転車を担いで登りました」。海外にも挑み、翌年夏にはテントや食料など約40kgの重装備で北米のロッキー山脈を縦走。「空気が薄く、夏なのに雪も降り、悪路に苦戦しながら約5000kmを走り抜きました」。
「今もぞっとする」という経験をしたのは3年生のときです。自転車を押してスイスの氷河を登っていたときに氷の割れ目のクレバスに遭遇。「雪に覆われていて分からず、一瞬、ふっと体が軽くなりました」。幸い幅約50cmの割れ目に自転車がひっかかり九死に一生を得ましたが、「両足が宙ぶらりんになり、多くの人の顔が走馬灯のように浮かびました」。

◇旅先で百名山登山 源泉探索で本も出版
就職した自動車会社には自転車で通勤。3年間駐在したイギリスにも愛車を持参しましたが、冒険心は自転車にとどまりません。旅先ではカブスカウトの活動で小学生の頃に好きだった山にも登り、「気づけば日本百名山のうち65座の山頂に立っていました」。
自然の中で自噴する源泉探しにも魅了されて20数年。地図を見ていて道はないのに温泉マークがある場所に気づき、「2時間半かけてたどり着いた栃木の山奥で湧き出ていた温泉に入ったのが最初でした」と振り返り、昨年『全国野湯100選』(イカロス出版)の本まで出しました。

この4月に定年退職しましたが、ライフワークとして「よりよい自転車社会」をめざし活動中。自分仕様の愛車も8台所有し「自転車は種類も多く、仲間の輪も広がりやすいスポーツ。楽しみは無限大です」と語り、理事を務めるNPO法人「自転車活用推進研究会」などの活動をとおして魅力を発信し続けています。

◆私とふるさと
豊中市で生まれ、3歳のときに成美町に引っ越して来ました。旧成美幼稚園のときの友だちを中心に市立成美小学校や第五中学校の友人たちも加わって〝化石軍団〟というグループを作り、今も交流しています。
実家は、今はありませんが、同志社香里高校を卒業するまでずっと住んでいた寝屋川市は私の原点です。