くらし 人権ほっと(216)

「多様な社会参加の在り方」
大阪教育大学 准教授
今枝 史雄

55年ぶりに大阪の地で大阪・関西万博が開幕しました。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにさまざまなパビリオンが運営されています。こうしたパビリオンについて高齢の方々、身体障がいのある方々など、特別なニーズのある方々はどのように参加するのでしょうか?
MUIC Kansai(一般社団法人関西イノベーションセンター)が運営するLET‘S EXPOでは、「行こう。あきらめていた人と。」をテーマに万博に簡単に行けない方の参加を実現するユニバーサルツーリズムプロジェクトを立ち上げています。活動内容としては現地で利用する「万博会場内サポート」と、自宅・施設で利用する「バーチャル体験サポート」「オンラインツアー配信視聴」があります。この中でも「バーチャル体験サポート」では、大阪・関西万博のバーチャル会場が用意されており、アバター(バーチャル空間における自分の分身)として、会場に入り、実際の建物が再現されたパビリオンやイベント施設を巡ることができます。参加の仕方は会場に実際に行くだけではないのです。
こうしたアバターを使った取組の一つとして、大阪教育大学はレノボ・ジャパン合同会社(以下、レノボ)と連携し、不登校となった児童生徒等に対して学習保障を進めています。レノボが開発した「レノボ・メタバース・スクール」はメタバース空間(仮想空間)に不登校となった児童生徒等がアバターとして参加し、それぞれの個別の学習状況に応じた学習支援を受けることができます。すでに東京都では2024年度で、30自治体が利用している状況です。
このようにイベントへの参加、学校への参加など、社会への参加の仕方は多様であることがわかります。大事なのは諦める前に、いろいろな参加の在り方を知ることです。いろいろなことに参加してみませんか?

問合せ:人権推進課
【電話】072-972-1544