文化 まちの文化財(246)

■大屋の中庭煖華(だんか)
おおやホール和室には、中庭煖華による「七種の宿木」という日本画があります。桜の木に南天や藤、もみじ、椿を描いた鮮やかな作品です。
中庭煖華(明治34年~昭和53年)は、現在の養父市大屋町大杉に生まれました。大正13年小林柯白(かはく)に師事した後、安田靫彦(ゆきひこ)に師事して煖華の号を授けられました。昭和17年に始まった法隆寺金堂の解体修理に参加し、荒井寛方(かんぽう)班に加わって10号壁画(薬師浄土図)の模写に携わっています。〈出典、「中庭煖華 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所ホームページ)参照〉
奈良県立万葉文化館には昭和21年に中庭煖華が制作した「蛍光灯」という作品があります。これは文部省の事業として参画した法隆寺金堂壁画の模写現場の様子を描いたものです。昭和14年に安田靫彦が法隆寺壁画保存会委員に就任し、中庭煖華も保存修理に参画しました。
大杉区に中庭煖華が制作した法隆寺夢殿の日本画があります。灰色を帯びた和紙に墨で線と濃淡を着色したものです。基壇や高欄、垂木や屋根瓦、宝珠の描写は確実で安定し、文化財に対する誠実な眼差しが伝わります。縦58センチ、横80センチの作品で、和紙の状態等から当時のものでしょう。中庭煖華の代表作がふるさと養父市にあります。
(教育委員会歴史文化財課)