- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県養父市
- 広報紙名 : 市広報やぶ 2025年5月号(第254号)
■大屋の上垣候鳥(うえがきこうちょう)
大屋地域局の会議室に上垣候鳥による「富士」、おおやホール和室には「明けの富士」という日本画があります。「富士」は山梨県富士河口湖町の河口浅間神社付近からみた姿です。背景に金箔をはり、山頂には白い雪、山裾には黒い樹林が配置されています。「明けの富士」は神奈川県御殿場市の長尾峠方向からみた姿です。東から昇る朝日を受けた空が黒から白へと変化します。
上垣候鳥(明治42年〜平成9年)は大屋町蔵垣出身の画家です。大正15年に17歳で京都に出て小林柯白(こばやしかはく)に師事し、昭和6年から日本美術院展覧会に連続30回入選しました。昭和12年に日本美術院理事長の安田靫彦(やすだゆきひこ)に師事し、法隆寺の金堂壁画の模写に参加しました。
上垣候鳥は中庭煖華(なかにわだんか)より8歳年下で、小林柯白に2年遅れて入門しました。法隆寺の壁画模写では中庭煖華が属した荒井寛方(あらいかんぽう)班に参加し、10号壁画(薬師浄土図)を模写しました。上垣候鳥は同郷の中庭煖華に導かれたようです。
昭和22年上垣候鳥は小田原市に移住し、富士山の作品に取組みました。昭和24年には東京藝術大学教材古画模写に参画しています。
大屋地域局にはハトが空を舞う「平和」と題した絵画もあります。上垣候鳥のふるさとに大作が展示されています。
(教育委員会歴史文化財課)