文化 祝 歴史まちづくり計画認定(1)
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- 自治体名 : 奈良県宇陀市
- 広報紙名 : 広報うだ (2025年12月号)
■宇陀市が全国で99番目の認定都市に!
7月30日(水)、「宇陀市歴史まちづくり計画(宇陀市歴史的風致維持向上計画)」が国の認定を受けました。
奈良県では、3番目となります。
■歴史まちづくりとは?
地域に残る歴史的な建物や町並み、自然、文化、行事などを未来へ受け継ぐとともに、暮らしや観光・産業にも活かしていこうとする取り組みです。
単に「古いものを守る」だけではなく、歴史を活かして地域の魅力と活力を高めることを目指しています。
この取り組みを推進するための仕組みが、「歴史まちづくり法」(正式名称…地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律)です。
この法律に基づき、自治体は「歴史的風致維持向上計画」を作成し、国の認定を受けることで、歴史的風致の維持・向上を図り、個性豊かな地域社会の実現とまちづくりの推進を図ります。
■歴史的風致とは?
歴史と伝統を反映した人々の営み・暮らし・活動と、歴史的価値の高い建造物とその周辺の市街地が一体となった状況を指します。
「建物」だけでなく、「そこで営まれてきた暮らし」まで含む点が特徴です。
■宇陀市の歴史的風致
宇陀市には、地域ならではの魅力ある歴史的風致が受け継がれています。
・国選定「宇陀市松山重要伝統的建造物群保存地区」を中心に行われる伝統行事
・国宝「宇太水分神社本殿」や「室生寺本堂」を中心として開催される伝統行事
・記紀・万葉ゆかりの地に伝わる「神武さん」や「ダケ登り」
・伊勢本街道に残る「道つくり」、ほか
これらは地域固有の魅力的な歴史的風致が形成されています。
■宇陀市8つの風致
(1)記紀・万葉ゆかりの地の営みにみる歴史的風致
(2)伊勢街道の旧宿場町の営みにみる歴史的風致
(3)宇太水分神社の祭礼行事にみる歴史的風致
(4)室生寺周辺の行事にみる歴史的風致
(5)宇陀市の民俗芸能にみる歴史的風致
(6)宇陀の田畑と山林にまつわる祭礼行事ゆかりの歴史的風致
(7)薬草の生産と活用にまつわる歴史的風致
(8)宇陀松山の水路と商いゆかりの行事にみる歴史的風致
※詳しくは本紙またはPDF版をご覧ください。
(1)記紀・万葉ゆかりの地の営み
記紀・万葉ゆかりの地名の顕彰活動の足跡を示す石碑や神社を舞台に、記紀・万葉に関連性のある地域固有の行事が継承され、良好な歴史的風致を形成している。
(2)伊勢街道の旧宿場町の営み
都から伊勢へ通じる重要な街道として発展した「伊勢街道」では、分岐点である萩原宿の御回在(ごかいざい)や、沿道における道つくり、濡れ地蔵会式など道ゆく人の安全を願う活動等が受け継がれている。
(3)宇太水分神社の祭礼行事
中世から伝わる宇太水分神社社殿を中心に繰り広げられる、お渡りと太鼓台巡行。山と伝統的な農村集落に囲まれた場所から、中心市街地までの道を豪壮に練り歩く祭礼が受け継がれ、良好な歴史的風致を形成している。
(4)室生寺周辺の行事
火山性の特異な地形を持つ室生は古くから聖なる地として信仰を集め、龍穴神社や室生寺が建立された。五穀豊穣の感謝を捧げる秋祭りのほか、信仰に絡んだ様々な伝統行事が受け継がれている。
(5)宇陀市の民俗芸能
かつては雨乞や慰霊、氏子の息災を願い、市内各地で様々な形の民俗芸能が行われていた。中でもいさめ踊り、盆踊りなど地域固有の民俗芸能が受け継がれ、社寺の境内を中心にして歴史的風致を形成している。
(6)宇陀の田畑と山林にまつわる祭礼行事
山間地にある宇陀は、山がちで二毛作に不向きな土地柄から、農閑期に林業等を行ってきた。稲作のほか、黒大豆や林業にまつわる祭礼行事が受け継がれ、豊かな農村集落の景観と相まって良好な歴史的風致を形成している。
(7)薬草の生産と活用
『日本書紀』に薬猟(くすりがり)の地として登場する宇陀は、薬草の生育に適した土地柄であるため、大和茶の栽培や葛の生産などの生業や、薬草を取り入れた暮らしが受け継がれている。
(8)宇陀松山の水路と商いゆかりの行事
戦国時代の城下町から始まり、宇陀郡の中心地として栄えた宇陀松山では、前川と呼ばれる水路を活かした暮らしや、商売繁盛を願う行事が受け継がれている。
■計画の内容
本計画では、宇陀市における歴史的風致を位置づけ、8つの風致(3ページ)と、重要文化財建造物等を核とした3つの重点区域を設定しています。更に、次の取り組みを位置づけ、歴史的風致の維持・向上を図ります。
・歴史的建造物の保存・活用
・歴史的活動の継承
・歴史的市街地の整備
・歴史的風致の周知と交流促進
※詳しくは本紙またはPDF版をご覧ください。
■歴史を「守る」から「活かす」時代へ
建物だけでなく、そこで育まれてきた人々の暮らしや文化まで大切にし、地域に根づく歴史を、日々の暮らしや賑わいづくりにつなげていくことが、歴史まちづくりの考え方です。
先人が守り受け継いできた歴史を大切にしながら、現代の暮らしに合った形で活かし、未来へとつないでいきます。
■歴まちカードを集めよう
国から認定を受けた計画を持つ都市では、カード型パンフレット「歴史まちづくりカード(歴まちカード)」を作成しています。市は、宇陀松山、古市場、室生の3種類を作成しました。ぜひ現地へ足を運び、配布場所で入手してください。
歴まちカードは概ね全国の認定都市で配布していますので、行先の自治体や地方整備局のホームページ等でご確認ください。
