- 発行日 :
- 自治体名 : 奈良県山添村
- 広報紙名 : 広報やまぞえ 令和7年9月号
こんにちは、診療所の吉川です。今回は、熱中症の予防法についてご紹介します。
この文書が掲載される9月初旬も熱中症のリスクもまだ油断できません。むしろ真夏より少し涼しくなった時期のほうが日中の活動時間も増えるため危険性が増す可能性があります。
熱中症とは、高温環境下で体温調節機能がうまく働かなくなり、体温が異常に上昇することで発症する疾患です。重症化すると命に関わる恐れもあります。特に、山添村では日中に草刈りなどの屋外作業をされている方をよく見かけますので、熱中症対策は欠かせません。
熱中症の予防策として注目されているのが「水分先取り補給(ウォーターローディング)」です。もともとは炎天下で活動するアスリートの熱中症対策として取り入れられていた方法で、現在では一般の方にも推奨されています。
「水分先取り補給」とは、運動や屋外作業の数時間前から計画的に水分を摂取し、体内に十分な水分を蓄えておく方法です。具体的には、活動開始の2~3時間前からコップ1杯(約200ml)の水を1時間おきに飲むことが効果的とされています。
また、水分補給には塩分やミネラルを含んだ飲料(経口補水液やスポーツドリンクなど)を選ぶと、汗で失われる電解質を効率よく補うことができます。ただし、糖分の多い飲料は、糖尿病などの持病をお持ちの方にとって悪影響を及ぼす可能性があるため、摂取量には注意が必要です。緑茶は利尿作用があり脱水を助長する可能性もあり「水分先取り補給」の際は控えてください。
さらに、「水分先取り補給」とあわせて重要なのが、前日の体調管理です。翌日に長時間の野外作業や運動を予定している場合は、前夜の十分な睡眠と、就寝前の過度な飲酒を控えることで、体内の水分バランスを整えることができます。
この夏を安全に過ごすために、日頃から「水分先取り補給」と「前日からの体調管理」を習慣化し、熱中症予防に努めましょう。
東山・豊原診療所 担当医師 吉川 健治