文化 御坊市文化賞 受賞者紹介

市では、文化の発展に貢献された方をたたえ、一層のご活躍を願って文化賞の贈呈を行っています。
令和7年度は、中村安秀氏と御坊写真教室が文化賞の栄に輝かれました。

■中村 安秀(なかむらやすひで)氏
氏は、幼少期を本市で過ごし、小学4年まで御坊小学校に通学したのち、父親の仕事の都合で大阪へ移った。その後、東京大学医学部に進学、昭和52年に同学科を卒業後、東京大学医学部附属病院、都立府中病院小児科、東京都三鷹保健所勤務などを経験され、昭和61年から国際協力事業団(JICA)の母子保健専門家として、保健医療活動に取り組まれた。その後、平成3年に東京都母子保健サービスセンター研修相談担当医長を経て、平成5年から東京大学医学部小児科講師を務めた。平成9年から東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学助教授、平成11年には大阪大学大学院人間科学研究科教授に着任され、その後、平成29年に大阪大学名誉教授の称号を授与された。平成30年に公益社団法人日本WHO協会の理事長に就任され、「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標達成に向けて取り組まれている傍ら、令和7年には国立看護大学校特任教授に就任されている。
昭和61年、インドネシアでの国際協力事業団(JICA)の保健医療活動において、当時同国には母子健康手帳がなく、妊娠、出産、予防接種及び成長の記録などがわからないなど、診断・治療に支障が生じていた状況から、氏は日本の母子健康手帳の素晴らしさを改めて認識し、現地で母子健康手帳の作成に取り組んだ。作成する際には、日本の母子健康手帳をそのまま翻訳するのではなく、現地のニーズや文化にあわせたインドネシア版母子健康手帳を試作した。この母子健康手帳がきっかけとなり、インドネシア政府と協力し、インドネシア全土で母子健康手帳が導入された。これが他国への母子健康手帳の普及の基盤となった。
また、氏は日本以外の国から母子健康手帳について学んでみたいと思っていたことから、ともに学ぶ場として東京で母子健康手帳に関する国際会議を開催した。その後も世界各地で国際会議を開催しているほか、国際母子手帳委員会代表として、母子健康手帳に関する研究や母子健康手帳を作りたい国の支援など、国を超えた支援のネットワークを構築するなど、母子健康手帳の開発と普及啓発に努められた。現在、母子健康手帳は50以上の国や地域で活用されており、平成27年には、母子健康手帳を海外に広めた功績から医療功労賞を受賞している。
このように、氏の母子健康手帳の国際的普及に関する取組や功績は誠に多大である。

■御坊写真教室(ごぼうしゃしんきょうしつ)
御坊写真教室は、御坊市教育委員会が生涯学習の一環として平成元年から写真教室を数回にわたって開いたところ、多くの受講生が集まり、「写真教室の会の設立を…」との強い要望から、講座受講の有志及び会員の推薦する者で平成8年4月に御坊写真教室友の会として発足した。その後、令和6年に御坊写真教室に改名、今年は発足から30周年を迎えるなど、これまで長きにわたり活動を続けている。
同団体は、気軽に写真の創作を楽しむ活動と写真の普及・発展に合わせ、会員相互の親睦を図ることを目的としており、初心者が、何の不安もなく入会すること、いつも楽しく和やかに会員同士が交流できることは、同団体の特徴となっている。
一方で、月例会では作品を持ち寄り、互選を行い、お互いの審美眼を養っているほか、講師を招き、作品の講評をいただくとともに、撮影方法などを学ぶなど、研鑽に励んでいる。
このように発足時から、会員一同一家族のごとく和気あいあいと活動しつつも、互いに切磋琢磨してきた日々の積み重ねが、同団体の向上につながっており、同団体の会員は様々なコンテストにも多く入賞するなど、その活躍ぶりは著しく、また毎年開催している写真展には、3日間で500人近くの人が鑑賞に訪れている。
そのほか、御坊市市制施行40周年記念の「御坊市歴史年表」の挿図写真や東京2020オリンピック聖火リレーの写真の撮影及び提供を行うなど、本市の歴史と歩みを次世代へ継承する記録資料に顕著な功績を挙げている。
以上のとおり、御坊写真教室が長年にわたり、写真の普及発展に広く努められ、本市の地域文化向上に寄与された功績は多大なものがある。

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