くらし 特集 2026新春座談会 「伝統を未来に紡ぐ」(1)

新年あけましておめでとうございます。
今回は、本市の伝統芸能や伝統産業に関わる4人をゲストに迎え、それぞれの活動や伝統文化を守り生かす地域づくりについて、深澤市長と語っていただきました。

◆武田尚也(たけた なおや)さん
湯所神社麒麟獅子舞保存会に所属。
6年前にメンバーに誘われて保存会に入る。はじめは笛や鐘、太鼓などのおはやしを担当していたが、2025年から獅子頭を任される。

◆熊田 舞(くまだ まい)さん
20歳ごろに地元の貝がら節保存会に入り、本格的に「正調貝がら節」を踊るようになる。地元や県外で貝がら節踊りを披露するなど貝がら節のPRと継承活動を行っている。

◆坂本 宗之(さかもと むねゆき)さん
因州・中井窯4代目。
地元の高校卒業後、京都の陶芸学校でろくろと釉薬(ゆうやく)について学ぶ。京都の窯元で修行した後に地元に戻り、現在は父の章さんと一緒に日々器づくりに励んでいる。

◆福田 美由希(ふくた みゆき)さん
国府町因幡の傘踊り保存会美歎支部に所属。
社会人になって講座を受講したことをきっかけにかつて教わった傘踊りを再開する。現在は因幡万葉歴史館の職員で「因幡の傘踊りの祭典」を担当。

■活動や思いについて
武田:鳥取市に引っ越してきたことがきっかけで保存会に所属しました。出身地の智頭町芦津にも麒麟獅子舞があり、子どものころからなじみのある芸能だったので、ぼんやりと大人になったら獅子舞をするんだろうなと思っていました。
湯所神社麒麟獅子舞保存会は、主に4月末に神社で開催される春祭りで麒麟獅子舞を舞っています。女性や高校生、町外の人も所属していて、格式ばらず柔軟に、和気あいあいと楽しく活動しています。獅子頭は今から約240年前に作られたという記録が残っていて、制作年が分かるものの中では一番古いそうです。
イベントや行事にフットワーク軽く参加していて、麒麟獅子舞フェスタや鳥取城跡ときめきマルシェ、昨年は大阪・関西万博にも参加しました。国内外の多くの人に獅子に触れ合っていただくことができました。

市長:本市でも、麒麟獅子舞フェスタや段ボール獅子頭の制作体験など、伝統芸能を若い世代のみなさんにも知っていただく取り組みを行っています。麒麟のまち圏域の大切な伝統として守り、継承していくだけでなく、観光面でも核となる存在となっていますよね。

福田:最初に傘に触れたのは小学生のときでした。運動会で披露し、中学校では傘踊りクラブで活動していました。社会人になってからはしばらく離れていましたが、鳥取市因幡万葉歴史館が主催する傘踊り講座を受講して、因幡の傘踊りの祭典に出演し、その後、講師をされていた因幡の傘踊り保存会美歎支部にそのまま加入しました。因幡の傘踊りは男性が踊るイメージが強く、美歎支部では女性の加入は私が初めてです。毎年祭典に参加していますし、県外のイベントや海外でも披露する機会がありました。私も一度、台湾で披露したことがあります。
また、昨年から初めての試みとして、公立鳥取環境大学の学生有志に教えています。興味を持っていただいたことがすごく嬉しいですし、励みになります。昨年の因幡の傘踊りの祭典では、学生のみなさんが素晴らしい踊りを披露してくれました。これからも継続して教えて、学生に根付いたらいいなと思います。

市長:因幡の傘踊りはいつ見ても力強く、華麗で、かつ哀感が感じられる素晴らしい舞で、以前からとても好きな伝統芸能です。国内外で踊りを披露したり、小中学生や大学生に教えたりするなど、魅力を感じていただくことによって、継承していこうという活動が素晴らしいと思います。

熊田:私が貝がら節を踊り始めたのは3歳頃だったと母親から聞いています。小中学生の頃は毎年貝がら節祭りで踊っていました。大人になってからは、貝がら節保存会に所属し、正調貝がら節踊りを練習して県内外でPRしています。今は浜村小学校で貝がら節踊りを指導していて、今年で8年目です。1年生から3年生までは新貝がら節踊りを、4年生から6年生までは正調貝がら節踊りを練習し、毎年運動会で披露しています。他には、しょうがぽかぽかフェスタで小学生がパレードをしながら踊るという取り組みも行っています。指導している子どもたちが本番で踊っている姿を見ると涙が出るほど嬉しいです。
私自身は、8月に行われる貝がら節祭りで、踊りが始まるスタートのかけ声をかけたり、誰でも自由に参加できる勝手連という連で率先して踊って観光客と一緒に踊りを楽しんだりしています。

市長:子どもたちがさまざまな場面で踊りを披露していて、次世代につながるとても素晴らしい取り組みだと思いました。私も貝がら節祭りに毎年出席し、各連のみなさんの素晴らしい踊りをいつも拝見しています。本市が誇れる民謡ですので、多くのみなさんに継承していただきたいです。

坂本:因州・中井窯は昭和20年に曾祖父が今の中井窯の場所に登り窯を築いたことが始まりです。黒、白、青の3色の掛け分け皿は、中井窯を代表する作品の一つです。
自分の身の回りにはいつも中井窯の器があって、小さな頃から祖父や父の姿を見てきてかっこいいと思っていましたし、誇りに思っていたので、自然とこの道に進むことを決めました。高校卒業後、4年間ろくろと釉薬(ゆうやく)を学ぶ学校に通い、その後1年間窯元で修行しました。今は中井窯を継いで8年目です。
作品は地元の道の駅や工芸店、高砂屋、自宅のギャラリー、そして、毎年秋に地元で行われる西郷工芸祭りでも販売しています。工芸祭りは昨年で10回目という節目を迎え、多くの人たちにお越しいただき大盛況でした。直接お客さんと会話して、手に取って見ていただけることはこれからの作品作りの励みになります。

市長:私も中井窯の作品を長年愛用しています。西郷工芸祭りでは素晴らしい作品が展示即売されていて、何よりも素晴らしいのは作家のみなさんと直接話ができることです。昨年は坂本さんとも会場でお会いし、私も楽しい時間を過ごさせていただきました。