くらし 南部町のいきものたち(218)

■モツゴ
◇大漁!
ご縁あって、モツゴを数百匹頂きました。10センチを超える大物が多く、よりよく肥えた体型で健康優良魚そのもの。たっぷり手に入ったので、70匹ほどを冷凍して、「キナルなんぶ」で飼育しているオオサンショウウオのお食事用に、生きたモツゴも13匹を「なんぶふれあい館」の小型水槽で泳がせることにしました。我が家でも、屋外のタライに150匹ほど飼育して移動博物館などに活用できればとキープしましたが、それでもまだまだ余剰あり。そこで、人生初のモツゴ料理に挑戦することにしました。

◇水色のウロコ
唐揚げか、天ぷらか、二択を迷って天ぷらコースを選びました。今回は内臓を除去しましたが、苦味や野趣感の強いお味がお好みの方は、丸ごと加熱するとよいと思います。包丁を入れながら気が付いたのは、モツゴが美しい水色のウロコを持っていることです。ところが、ネット上で画像を色々見てみると同じような体色はなかなか出てきません。琵琶湖産生体を撮影した個体が似た雰囲気でしたが、光の当たり加減なのか、死んだ魚だと水色に見えやすいのか、個体差なのか、理由がよく分からないままです。ちなみにオスの婚姻色は各種ヒレが黒くなります。そして肝心の食レポは、「ほくっとさくっと香ばしい!」美味しいお魚でした。

◇外来魚防除の効果?
実は、モツゴが獲れた所は、巨大な外来魚カムルチーこと雷魚が何十匹もいるため池でした。前年の秋の落水後、コイやフナを食べてしまう雷魚を、地元の方ができる限り捕獲されたのです。そのためか2024年の秋は、ドジョウもドンコもモツゴもこの数年ではないくらい大漁でした。環境の変化に強いと言われているモツゴですが、この小魚もかつては貴重なタンパク源として地域の食を支えた里山の恵みだったと思われます。モツゴが絶滅危惧種にならないよう、いつまでも南部町産淡水魚の常連でいてほしいものです。

自然観察指導員 桐原真希