- 発行日 :
- 自治体名 : 島根県松江市
- 広報紙名 : 市報松江 2025年12月号
■古代から続く5市のつながり―『出雲国風土記(いずものくにふどき)』から―
本圏域は、その東西を中海・大橋川・宍道湖が貫いており、奈良時代に作られた『出雲国風土記』では、この3湖川を分けず、「入海(いりうみ)」として一つの名で記しています。米子、境港、安来は都のある東側の出入り口として、出雲は文明の先端たる大陸や九州との出入り口として、重要な役割を担いました。松江は二つの湖の間にあって、全域の水上交通をコントロールしていました。
『出雲国風土記』は、出雲国のことを記している一方で伯耆国(ほうきのくに)のことも書いており、現米子市の粟島(あわしま)神社の小山を「粟島」として記しています。また現境港市を「夜見島(よみのしま)」とし、江島や美保関町とのかかわりを書いています。編纂者(へんさんしゃ)は、中海から宍道湖の圏域を一体として見ていたのではないでしょうか。古代の国堺(くにさかい)は国家の都合で引かれた経緯もあり、現在の県境もそれを引き継いでいるのです。
記事執筆:松江市文化財総合コーディネーター 丹羽野裕(にわのひろし)
問い合わせ先:中海・宍道湖・大山圏域市長会事務局
【電話】55-5056
