その他 シリーズ「松江の匠(たくみ)」

市は長年にわたり地域産業の発展に貢献された技能者を表彰しています。
令和6年度 松江市手作り産業優良技能者表彰

■No.2 池内春樹(いけうちはる)/池内秀信(きいけうちひでのぶ)
有限会社池内石材(八束町波入)
(功労賞受賞)
推薦団体…まつえ北商工会

匠は八束町の池内石材で石材業を営む父のもと、双子として生まれました。池内石材は元々、大根島石の採石・加工・施工を主に行う会社で、二人は父からその技術を受け継ぎました。大根島石を使用した石垣の施工技術に優れ、県内では第一号、第二号となる「石材施工・石積み資格技能検定一級」を取得しています。
匠は、石垣作りの一番最初の工程にあたる石の加工が肝心だと話します。採石場に行ってその場で手作業で原石を割り、割った石を削ります。その際には、貴重な石を少しでも無駄なく生かすために寸法など細かく考えて割ることが重要とのこと。自ら採掘した石を使った石垣の施工では、近年は本市の大橋川護岸工事を請け、美しい石垣を完成させています。石垣の積み上げはかなり技術が必要で、大きさや形がさまざまな石を、どの向きでどの順で積み上げていくかというのは、全て職人の勘だといいます。石の組み方により崩れないよう、そして隙間が空きすぎないよう工夫を凝らしています。また、松江城などの文化財の石垣の修復も行っており、修復では石垣を全て解体してから、修復前と同じ配置で同じ石を使って積み上げていくため、かなり難しい作業ですが、完成した写真を拝見すると、修復前はガタガタでも、修復後にはまるで切ったような断面が出来上がっていて、これこそ職人の技だと驚きました。
職人をめざす人へ伝えたいことを伺うと、「初めは誰でも、頭で分かっていても腕がついていかない。そうなった時に諦めたくなるが、そこを乗り越えることが職人になれるかどうかだと思う。自分で手にした技術は誰にも邪魔されないから、それまで命を懸けて粘ることが大事である」と語りました。
今でもなお、「まだまだ未熟であり、現場に出向くたびに新たな修行だ」と語る匠。匠が築き上げる石垣は、これから何年先も、本市の美しい景色の一部となり息づいていくでしょう。

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