- 発行日 :
- 自治体名 : 岡山県津山市
- 広報紙名 : 広報津山 令和8年1月号
ー美作大学の公立化に関する有識者検討会議の議論からー
100年以上にわたり、地域と歩みを重ねてきた美作大学。
全国的な少子化や若者の都市部志向などの社会変化を受け、大きな転機を迎えています。
多くの若者が集い、まちづくりの拠点でもある大学の未来をどのように描き、地域の発展に生かしていくのか。市が設置した有識者検討会議(有識者会議)での議論をもとに、美作大学の現状や課題を共有し、地域全体で大学のこれからについて考えていきましょう。
■大学の今 現状と取り巻く環境
◇地域に根ざし、地域を支える
大学は、地域人材の育成や、教育・研究を通じた地域課題の解決に貢献し、持続可能なまちづくりに欠かせない存在です。
[数字で見る美作大学の地域貢献]
人材育成にとどまらず、地域の経済や若者の定住促進にも大きく貢献しています。
地域への人材供給:
・津山市出身の約3割、美作地域出身の約4割が地元で就職
・美作地域の小学校教員の新規採用者の約2割、講師の約4分の1が美作大学出身
・保育士・幼稚園教諭養成コース卒業生の約2割が美作地域で就職
地域経済への貢献:
・学生や教職員の消費支出、大学の運営経費などによる経済波及効果は毎年約19億円
・学生や教職員約1,000人が暮らすことで、市税などの収入が年間約6,000万円以上増加
・学生アルバイトによる労働力提供は、約24万時間以上(正社員換算で122人分相当)
◇厳しさを増す大学経営
全国的に18歳人口が減少し、私立大学の約6割が定員割れになる中、美作大学も令和5年度から入学者数が定員を下回り、令和6年度には収支が赤字に転じるなど、急速に経営状況が悪化しています。以前から定員割れが続いていた短期大学部は、令和7年度末で廃止される予定です。
▽公立化検討QandA
Q 公立化した場合、国などの支援はないの?
国は、教育の機会均等につながる教育機能を維持するため、大学を含めた公立学校の運営のために地方交付税を交付しています。公立化された大学は、交付税を活用して、安定的に運営できる仕組みになっています。
Q 公立化すると市の財政負担はどうなるの?
試算では、大学運営のために追加でもらえる地方交付税の範囲内で自立した運営が可能となる見込みです。ただし、学生の定員割れや将来的な建物の建て替えに伴い、追加負担が生じる可能性があります。
Q 公立化によって、美作学園の資産や負債はどうなるの?
大学の土地・建物などは市に無償譲渡され、運営経費として約8億円の寄付も予定されています。退職金や借入金は美作学園が精算し、市から学園に補助金などを支払うこともありません。
Q 新学部の設置は検討したの?
地域ニーズを反映した新学部の設置についても検討を行いましたが、有識者会議の報告書では「まずは、現在の美作大学が存続できる安定した財務基盤の確立を優先すべきである」とされています。
■未来の選択肢 美作大学の存続に向けた方策の検討
◇地域に残していくためには
有識者会議では、大学が地域で存続・発展していくためのさまざまな方策が議論されました。
▽Case1 私立のまま存続を図る
検討した方策:更なる自助努力、他法人への経営譲渡、市による独自支援、広域での取り組みなど
有識者会議での評価:
・どの方策も、効果や実現性、即効性などで課題が多い
・「地方の小規模私立大学」のままで、学生数を急速に回復させ、経営を安定させることは極めて難しい
私立として存続した場合と公立化した場合の累積収支の見通し

▽Case2 市が公立化する
期待される効果:
・学生確保の安定化…知名度やブランド力の向上で、志願者数の増加と安定した学生の確保が期待できる。
・学費の低廉化と財務の安定化…学費が安くなり、学生の経済的負担が軽減されるとともに、国からの地方交付税で安定した財務基盤の確保が見込まれる。
課題やリスク:
・定員割れのリスク…少子化の影響で、定員割れのリスクがあり、継続的な魅力向上などの努力が求められる。
・地域人材の流出の懸念…公立化すると、地域内の入学者や就職者の割合が低下する傾向があり、地元への定着を促す対策が必要になる。
・施設の建て替え費用…現在の建物をすべて同じ規模で建て替えた場合、約140億円が必要と試算されている。市の負担が生じる可能性があるため、施設規模の適正化や財源の確保を検討していく必要がある。
◇附属幼稚園の役割と今後のあり方
大学の教育や研究と深く関係しているだけでなく、放課後児童クラブなど、地域の子育て支援の役割も担っています。市内の幼児教育の利用ニーズなどを踏まえながら、今後のあり方を検討する必要があります。
主な課題:
・出生数の減少により、他の幼稚園などと競合するおそれがある
・園児数の減少が見込まれ、公立化しても黒字化は困難
■未来に向けて 有識者会議からの提言
・大学の存続に向け、公立化は他の方策と比べ、学生募集や財務基盤強化の面で実現可能性が高い
・ただし、将来的な市の財政負担リスクを伴うほか、大学の魅力向上に向けた不断の努力が不可欠
・公立化の是非は、短期的な視点や主観によらず、まちづくりの観点から十分な議論を尽くし、最適な判断がなされることを期待する
■皆さんのご意見をお寄せください
有識者会議の報告書は、市ホームページ、高等教育機関連携室(市役所3階)、市立図書館(アルネ・津山4階)・各地区館で見ることができます。
会議の資料や議事録は、市ホームページで公開しています。
ご意見は、市ホームページの入力フォーム、窓口または郵送で受け付けています。
〒708-8501 津山市山北520 津山市高等教育機関連携室
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問合せ:高等教育機関連携室
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