文化 津山の歴史 あ・ら・か・る・と

■曲がりくねった剣ー蛇行剣(だこうけん)ー
写真1は、里公文にかつて存在した藤蔵池頭古墳(とうぞういけがしらこふん)から見つかった鉄製の剣です。藤蔵池の改修の際に、古墳があった丘陵部分が崩れ、その土の中からこの剣と刀子(とうす)(小刀のようなもの)の破片が出土しました。これにより、かつてこの地に古墳が存在していたことが明らかになりました。しかし、古墳自体は消滅しており、規模や埋葬されていた状況などはよく分かっていません。
古墳から出土する剣は、刃の部分が真っすぐなものが多いですが、この剣はくねくねと曲がっています。この形が蛇が地を這うように見えることから「蛇行剣」と名付けられていて、刃の屈曲は2回から7回までさまざまです。出土したこの剣は、ゆるやかに3回の屈曲があり、蛇行剣の中では最も多く見られる形状です。
蛇行剣は、古墳時代中期から後期(5~6世紀)に作られた墳墓から見つかることが多いものの、出土例は少なく、日本全国でも90点ほどしか確認されていません。東北地方を除く各地域に見られますが、分布の中心は近畿地方と南九州で、特に宮崎県えびの市の島内地下式横穴墓(しまうちちかしきおうけつぼ)では、13本もの蛇行剣が出土しています。岡山県では里公文のものが唯一の出土例です。
蛇行剣はどのような人が持ち、何のために作られたのでしょうか。これまで明確な結論は出ていませんが、「蛇行」という特異な形や、その数の少なさから、一定の権力者のみが持てるものであったと推測されます。
近年、奈良県奈良市の富雄丸山(とみおまるやま)古墳(4世紀後半頃)から、巨大な蛇行剣が発見されました。その長さは何と全長237cm。里公文で出土したもの(全長約55cm)と比べると4倍以上の大きさで、これまでの例でも最長、最古級のものです。この発見により、今後、蛇行剣について新たな情報が分かるかもしれません。

※写真は本紙をご覧ください

問合せ:津山弥生の里文化財センター(沼)
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