文化 津山の歴史 あ・ら・か・る・と

■津山と津和野をつなぐ資料
「蘭学・洋学 三津(さんしん)同盟」をご存じですか。津山市・津和野町(島根県)・中津市(大分県)という名前に「津」が付き、江戸後期から明治初期にかけて優れた蘭学者・洋学者を輩出したという共通点がある3つの市町で結ばれた都市縁組です。今回は、その中の津山と津和野のつながりを示す資料を紹介します。
『西学入門』という幕末の津和野藩の藩校養老館で使われたオランダ語学習の入門書です。吉木蘭斎(よしぎらんさい)という津和野藩の洋学者によって書かれたこの本の冒頭の序文を、津山藩の洋学者として有名な箕作阮甫が書いています。
序文では「津和野侯新たに洋学校を開く。其の臣吉木子に命じ西学入門を刻み、以て子弟に授く。」という記載があり、加えて、藩主の英明さを褒めつつ「余深く其の設施・得法に服す。(私は養老館の施設とその学習方法に深く感心した)」と称賛しています。
本の序文を依頼したということは、著者の蘭斎と阮甫との間に交流があったか、または蘭斎が阮甫を尊敬していたと思われ、まさに「三津同盟」を体現する資料です。
この『西学入門』は、現在のところ津和野町の太皷谷稲成神社所蔵の品しか現存が確認できない貴重な資料です。津山洋学資料館秋季企画展「幕末の津和野藩と洋学」で展示しているので、ご覧ください。
※会期は11月16日(日)まで

問合せ:津山洋学資料館(西新町)
【電話】23-3324