くらし ええとこいっぱい津山自慢(60)

津山の人・物・技術など、明日誰かに自慢したくなる津山のいいところを紹介します

■稲作農家の救世主
乗用型水田除草機「楽(らく)とーる」

金属部品の製造などを行うときわ製作所(上之町)が、化学肥料や農薬を使わない有機農業の現場を支える除草機「楽とーる」を開発。稲を傷めず雑草を取り除き、水田での除草作業の負担を軽くする工夫がされています。開発担当の常務取締役飯田喜啓さんに話を聞きました。

◇開発のきっかけ
先代の社長が、有機農業に取り組む知り合いの農家から「除草が大変で困っている」と相談を受けたことがきっかけでした。稲作では、欠かせない除草。特に、稲の列と列の間(条間(じょうかん))だけでなく、株と株の間(株間(かぶ)ま)の除草は、機械が入りにくく、手作業で行う人も多い大変な作業です。「自分たちの技術で助けになれないか」と、除草機の開発を始めました。農業機器の開発は未知の分野でしたが、つやま産業支援センターの支援もあり、補助金を活用しながら本格的に取り組むことになりました。部品製造が中心だったわたしたちにとって、製品そのものの開発は初めての試みで、思うような結果が出ない日々が続きました。

◇反響を力に、改良を重ねて
転機は、東京で開かれた農業展示会でした。試作機を出展したところ、除草に苦労している人からの声や、新しい技術への期待など、想像以上の反響があり、この製品を必要とする人がいることを再認識しました。「中途半端なものは出せない」と思い、発売を1年延期し、設計を一から見直すことにしました。地元農家の協力を得て、何度も試運転を行い、強度や安定性、使いやすさを徹底的に改良しました。
その結果、軽量でコンパクトな上、条間と株間を同時に除草できる「楽とーる」が完成しました。稲の根より浅い部分だけをかき取るので、稲を傷つけずに、雑草を取り除けます。水を張った状態で作業することで、機械の力が分散し、稲への負担をさらに減らすことができます。コンパクトなので、津山のような中山間地域でも使いやすいことも強みです。

◇今後の展望
発売後は「除草が楽になった」「収穫量が増えた」とたくさんの喜びの声が届きました。使用者の声をもとに毎年改良を重ねていて、来年完成する新工場には、生産ラインを整える予定です。将来的には、除草技術が普及していない海外にも展開したいと考えています。
ものづくりの魅力は、社会の課題に自分たちの技術で応えられることだと感じています。使う人のことを考えながら、どうすればより役立つ製品になるかを考えることにやりがいを感じます。これからも技術を磨き、新しい課題にも挑戦していきたいです。