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■難聴について
元庄原赤十字病院 耳鼻咽喉科副部長 伊藤 周(いとう しゅう)
耳の聞こえの問題には、ある日突然聞こえが悪くなるものと、数年単位で進行する難聴がありますが、数年掛けて進む難聴は症状の変化に気付きにくいため、注意が必要です。
こうした難聴の代表的な原因は騒音と加齢です。
騒音が原因の難聴は、長期間大きな音にさらされることによって、発症する病気です。職業柄、騒音にさらされながら仕事をする人が発症しやすいため、職業性難聴とも呼ばれています。近年は、ヘッドホンやイヤホンを使って長時間、大きな音量で音楽やゲームの音を聞き続けることが多い、若年層にも増えてきています。(ヘッドホン・イヤホン難聴)
加齢以外に特別な原因がない難聴を加齢性難聴といいます。
人は、音を聞くとき、外から伝わってきた音が耳の中の細胞を振動させて電気信号となり、脳まで伝わることで音を認識しています。
加齢性難聴は、音を電気信号に変える感覚細胞が加齢により減少していくために生じるといわれています。加齢性の変化が起こるのは、実は30歳代からとされており、徐々に進行しています。
軽度難聴以上の症状がある人の割合は、65歳以上で急増し、70歳過ぎると7割、80歳代になると8割の人が聴こえにくくなります。
加齢性難聴も騒音性難聴も、初期症状は、「耳が詰まった感じ」や「耳鳴り」です。
両耳同時に起こっていることも多く、左右の比較ができず気付きにくい傾向があります。
加齢性難聴の場合は、高音から聞こえが悪くなるのが特徴ですが、高音は、体温計の終了音や電子レンジの“チン”という音なので、初期にはあまり聞こえにくさを自覚することはありません。しかし、徐々に会話や日常生活で使う音の高さの聞こえも悪くなり、言葉が聞き取れない「聞き間違い」が多くなるなど、難聴を自覚することが増えていきます。
どちらの難聴も、発症すれば現在の医療技術では元に戻すことができず、治療法が存在しません。
日常生活で困りごとのある人は、補聴器をつけることが唯一の対処方法となります。
難聴は、単に聞こえにくいだけでなく、脳への刺激不足や精神的孤立から認知症のリスクを高めます。
また、うつ病や不安といった精神疾患と関連が深く、生活の質を低下させる要因にもなります。
補聴器の見た目を気にする方も多いですが、最近はスタイリッシュなものも増えており、若い人でも必要な人へ使用をお勧めしています。
必要かどうか悩んでいる場合は、補聴器相談医のいる耳鼻咽喉科や、認定補聴器技能者のいる認定補聴器専門店へご相談ください。

問合せ:保健医療課健康推進係
【電話】0824-73-1255