- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県下関市
- 広報紙名 : 市報しものせき 令和7年6月号
■特別な施設 FACILITY
●山頂屋内展望施設とパルスゴンドラ
火の山のなだらかな稜線になじむ、柔らかな曲線状の屋内展望施設は、平安時代からのろしを上げることで人々に情報を伝える役割を担っていた歴史を継承し、ライトアップで山麓や対岸に、その存在を示します。
施設の前に広がる芝生広場は、絶景を背に、さまざまなイベントに活用できます。
火の山の象徴・ロープウェイは、新たにパルスゴンドラに生まれ変わります。
・施設内には、山頂の玄関口の顔となるカフェを誘致する予定
・以前のロープウェイは、31人乗り×2台で往復運行していた。最終運行は令和6年11月10日。新しいパルスゴンドラは、8人乗りのゴンドラが2台連なり、4セット、合計8台がスキーのリフトのイメージで常時運行する。
※運行時間等は検討中。
▽山頂屋内展望施設・山頂駅・山麓駅設計者
隈研吾建築都市設計事務所 隈 研吾さん
火の山を訪れた際、ここでのろしが上げられていたことに強い象徴性を感じました。それをいかに現代に復活させるかを、まずは考えました。
山の緑自体が環境への強いメッセージになるので、建築の素材はあえて木ではなく、のろしのシャープな象徴性を表せる鋼素材を選びました。これにより、自然環境と調和しながらも、印象深い存在になることを目指しています。
遠くからの見え方と、近くでの体験の質の両方を兼ね備えた展望施設を目指しました。特に、ふくをイメージした屋根(ひさし)のめくれの微妙な調整により、遠くからは印象的に、夜は存在感を、近くではそのひさしの下に質の高い空間をつくっています。
山麓駅と山頂の展望施設の対比は強く意識したところで、山麓駅は日常の延長線上にあるものとして「都市の幾何学」のデザイン、展望施設は柔らかく天に導かれるような丸みのデザインとして、異なる体験が生まれることを狙っています。
関門は日本の歴史的転換の舞台となった場所ですので、その突き抜けた感じを建築に取り込み、特定の年代の意匠に縛られず、時代を超越したい。この地に流れる渦のような回転感覚も、丸みのデザインに昇華させて、関門の歴史・地理特性を表すことで、時と渦の流れを感じられる空間になればと考えています。
今回手掛けた建築が、これからの新しい下関の象徴になることを願っています。
■特別なロゴ・カラー LOGO COLOR
火の山全体としての統一感やクオリティーを保つことができるよう、火の山のブランディングが重要と考え、「ブランドガイドライン」の中でロゴとカラースキームを決定しました。
▽火の山(ロゴは本紙またはPDF版をご覧ください)
「新鮮なんだけど、たしかに火の山らしい」を実現するための火の山の”普遍性”や”既にそこにあるもの”として、(1)歴史、(2)景観、(3)山姿に着目しました。
そして、それら3つの特徴を並べると、そこには湾曲したラインがつくる独自な共通点があることに気付きます。
本ロゴデザインは、この湾曲したラインをもったフレームを独自性として取り入れ、「火の山」という印象的な名称に掛け合わせることで、シンボリックなロゴへ昇華しようと試みたものです。
訪れる人にも、いろんな火の山をよく知る地域の方々にも、長く愛着を持てるシンボルになってほしいという願いを込めています
・ならではの歴史…公園のあちこちでむき出しになっている独自な”歴史のかたち”
・ならではの景観…大パノラマだからこその丸みを帯びた地平線
・ならではの山姿…山頂に広い公園を有す穏やかな山の姿
▽市民インタビュー 中村圭太さん
高校時代、部活動で正月に学校から火の山山頂まで走って登り、今年の目標を一人ずつ叫んだ辛かったけれど良い思い出があります。大人になってからも、何となく火の山に行って明日の鋭気を取り戻していました。今、接客業をしており、観光客に下関で行くべきところを尋ねられたら、まず紹介する「下関の宝」。山頂からの絶景に、多くの方が感動されます。
▽市民インタビュー 木村大吾さん
関門海峡を望む最高の景色が広がり、利活用しやすい公共空間も整いつつあります。あとは、そこに市民一人ひとりがどんな彩りを加えるかだと思います。さまざまなイベントの開催はもちろん、山頂での結婚式など、多彩なアイデアを生かして、この場所を魅力あふれる空間に育てていきたいと思います。火の山が「心豊かな暮らしの1ページ」となることを願っています。
■HINOYAMA HERITAGE PARK
火の山山頂の屋内展望施設内にカフェの誘致を予定しており、民間事業者による「関門海峡メガジップライン」構想も検討されています。あるかぽーとでは、星野リゾートの「リゾナーレ下関」の開業が今年の12月に予定されるなど、火の山の再編整備が、民間投資も呼び込み、さらなる地域活性化につながるよう期待されています。
※工事期間中は、火の山公園の利用制限があります。
※火の山パークウェイは、10月末まで通行止めとなります。
問合先:公園緑地課
【電話】231-1944