子育て なるほど健康教室[223]

●子供の夜尿症(おねしょ)

赤ちゃんの間は、誰もが昼夜問わずおむつに排尿します。3歳頃になると日中おむつを外せるようになり、徐々に夜間の排尿も少なくなっていきます。成長しても夜間の睡眠中に排尿をしてしまう状態を「夜尿症」と呼びます。具体的には、5歳以上で1カ月に1回以上の夜尿が、3カ月以上続く状態を言います。
子供の夜尿症の有病率は、5歳では15%、6歳では13%、7歳では10%ほどです。小学1年生の時点で、30人クラスに約3人なので決して珍しいことではありません。成長するにつれて有病率は減少し、15歳以上では1~2%ほどになります。
夜尿症の原因として、尿意で目が覚めない、夜間の尿量が多い、膀胱に尿を貯められる量が少ないといった状態が複合的に生じていることが多いです。
その他にも、親が子供の頃に夜尿症だった場合や、ADHD(注意欠如多動症)などの発達障害がある場合は、夜尿症の有病率が高くなることが知られています。
夜尿症の対応として、一番重要なのは行動療法です。
(1)夕食から寝るまでの水分摂取量を少なくする
寝る2~3時間前までに夕食を食べ終わるようにし、寝るまでは水分摂取を必要最低限にとどめます。夏は脱水にならないように、エアコンを利用するなど環境を整えることも大切です。
(2)利尿作用のあるものを避ける
夕食時に塩分の多い食事や、カフェインを含む飲料、砂糖の多いデザートなどは夜間の尿量を増加させる効果があるため控えるようにしましょう。
(3)就寝前に排尿する
寝る前には必ずトイレで排尿する習慣を付けましょう。
(4)夜尿があっても怒らない
怒って心理的な負担を強いるのは逆効果になることもあります。夜尿の無かった日に褒めることで、治療に前向きに向き合えるようにしましょう。
実際の治療ではこれらの行動療法に加えて、夜尿の状況に合わせて服薬治療やアラーム療法を併用することがあります。子供の夜尿症が気になる場合は、かかりつけの小児科または泌尿器科にご相談ください。
〔岩国市医師会〕