- 発行日 :
- 自治体名 : 徳島県石井町
- 広報紙名 : 広報いしい 第278号(2025年8月)
◆繰り返してはならない
石井町長 小林 智仁
末っ子長男も次の誕生日で19歳。今春、高校を卒業し、現在は大阪の地で将来の夢に向かって歩んでいる。正に若さの特権。将来に夢や希望を膨らませていることだろう。しかし、その希望が叶わない時代があったことを忘れてはならない。
一昨年、多くの特攻隊が出撃した「知覧基地」を訪れる機会があった。前途ある若者の命が奪われ、家族や友人、将来を約束した人との永遠の別れ、言葉では言い尽くせないだろう恐怖と葛藤。ありのままの言葉を紡げず、気丈に振る舞うその手記を見ると、涙がとまらなかった。
特攻隊の最年少は17歳。将来に夢や希望を抱いた、まだほんの子どもが、命を散らさなければならない世界とはなんなのだろうか。刻一刻と近づくその日を待つのは、どれほどの恐怖だっただろう。残された者の苦しみは如何ほどだったであろう。同世代の子を持つ親として、胸が締めつけられる。
この残酷な現実を、時代を、戦争を知らない世代が、決して美談にしてはならない。今日は80回目の終戦記念日である。