しごと 障害者の就労支援 こんな仕事できます!(1)

就労支援施設では、一般企業などで雇用することが困難な障害のある方が、支援や訓練を受けながら働いています。その内容は農作業や建設業などさまざま。今号では、障害のある方が「労働者」として活躍している事例を紹介します。

■農業×福祉
就労継続支援 B型事業所
ひまわりの家

◯収穫する喜びが利用者のやりがいに
爽やかな秋空の下、小豆島ではオリーブの収穫が最盛期を迎えています。作業をしているのは障害者の就労支援施設「ひまわりの家」の利用者。職員の指導を受けながら、オリーブの実を丁寧に摘み取っています。
ひまわりの家を運営する社会福祉法人ひまわり福祉会が、農福連携を始めたのは障害者自立支援法が施行された2006年。障害者が仕事をして稼ぐための方法を模索していた時、知り合いから「小豆島だからオリーブで工賃アップを目指したらどうか」との後押しもあり、耕作放棄地を活用したオリーブ栽培を始めました。その頃は「農福連携」という言葉もなかった時代。前理事長の岡裕さんは「利用者さんのスキルアップを考えた時に、農作業ならできるかなと」と当時を振り返ります。
ひまわりの家では、自前の農園でオリーブの収穫から選定、搾油まで、利用者が作業しています。最近は地元のオリーブ農家から搾油作業の依頼を受けることも。理事長の橋本明彦さんは「農園を始めたことで収入が安定し、利用者さんの工賃も5倍以上に増えました。農作業は作業を分担できるので、利用者さんも自分の仕事に責任を持つようになり、やりがいにもつながっています」と語ります。
「小豆島で障害者の働く場所を確保できているのは、応援してくれる島の人たちのおかげ」と声をそろえる橋本さんと岡さん。農福連携が、小豆島の地域共生社会のモデルになるよう頑張っています。

◎利用者の声
横田聖人さん
ひまわりの家ではいろいろな仕事ができます。どの仕事も面白いですが、オリーブ農園での収穫は毎年楽しみにしています。体力には自信があるので、屋外での作業が好きですね。これからいろいろな技術を身に付けて、ゆくゆくはオリーブの搾油にも挑戦してみたいです。

Q 障害者の就労支援について
香川県で障害者手帳を持つ人※は55、222人。そのうち、身体障害者は37、973人、知的障害者は8、447人、精神障害者は8、802人です。また、障害者手帳の有無を問わず、配慮を必要としている人もいます。障害があるのは特別なことではなく、自分なりの働き方で、社会に貢献しながら自分たちの生活を作り出す「自立」を目指して働いています。
障害のある方の「働き方」には、一般企業等に就職して働く「一般就労」と、就労支援施設で働く「福祉的就労」があります。「福祉的就労」では、一般企業等で働くことが難しい障害のある方が、就労支援施設(就労継続支援A型・就労継続支援B型)にて、福祉的なサポートを受けながら働いています。就労を通して、働くために必要な知識やスキルを身に付けていきます。
※2025年3月31日現在

Q A型事業所とB型事業所は何が違う?
就労継続支援は、一般企業等での就労が難しい障害のある方に、働く場と支援を提供する福祉サービスで、A型とB型があります。さまざまな障害のある方が、それぞれの能力や適性に合った環境で働くことができるようになっています。

Q 香川県の就労支援施設の状況は?
県内にある就労支援施設は205事業所(A型:36事業所、B型:169事業所)で、約3、500人が利用しています※。B型事業所の利用者に支払われている平均工賃は月額22、688円で、全国平均を下回っています。障害のある方が自立した生活を送るためにも、工賃向上は重要な課題であり、働く場所の確保、拡大が必要です。
※2025年8月1日現在

◎平均工賃月額(2023年度)
A型事業所 78,611円(全国平均86,752円)
B型事業所 22,688円(全国平均23,053円)