しごと 未来のために、適切な価格転嫁を!(1)

■2026年1月日1から施行 法改正でここが変わる! 改正のポイント
・下請法→中小受託取引適正化法(取適法)
・下請 振興法→受託中小企業振興法

◯協議に応じない一方的な代金決定の禁止
代金に関する協議に応じないことや、必要な説明を行わないこと、協議を繰返し先延ばすなど、一方的な代金決定を禁止。

◯手形払等の禁止
対象取引において手形払が禁止されるとともに、支払期日までに代金相当額を得ることが困難なその他の支払手段も禁止。

◯振込手数料を負担させることの禁止
合意の有無にかかわらず、中小受託事業者に振込手数料を負担させることを禁止。

◯指導・助言などの権限を強化(面的執行の強化)
従来の公正取引委員会と中小企業庁に加え、事業を所管する省庁にも違反行為などへの指導・助言の権限を付与。

◯適用対象の拡大
1 対象取引に「特定運送委託」を追加
発荷主が運送事業者に対して物品の運送を委託する取引を追加。
2 適用基準に「従業員基準」を追加
従来の資本金基準に加え、従業員基準を新設。

■物価、賃金、価格転嫁率の推移
物価の上昇が続くなか、県内企業の価格転嫁率は40%程度にとどまっており、実質賃金は伸び悩んでいます。

◯価格転嫁率とは
原材料費などのコスト増加分を、どれだけ販売価格に反映できたかを示す割合です。
(例)原材料費の10円値上がり分に対し、販売価格を4円上げた場合、価格転嫁率=4円÷10円=40%となります。コスト増の4割を価格に転嫁できたことを示します。

※価格転嫁率は2022年12月、2024年2月、2025年2月、2025年7月の数値
帝国データバンク「価格転嫁に関する調査結果」

■賃金・投資と物価の好循環
コストの上昇に合わせて価格転嫁を行い、賃上げや投資を行う企業が出始めています。適切な価格転嫁をすることで適度に物価が上昇し、賃金アップや活発な企業活動につながります。この好循環が、産業や経済の成長を実現します。

◯好循環
・賃金上昇

・消費拡大

・企業の投資(設備投資・イノベーション)

・適度な物価上昇

・企業業績拡大
※詳細は広報紙6ページをご覧ください。

■労務費の適切な転嫁のための12の行動指針が示されています
例えば、発注者側の指針として
経営トップが労務費の転嫁を受け入れる方針を書面等で内外に示すこと
受注者側からの要請がなくても、定期的に労務費の転嫁について発注者側から協議の場を設けること
労務費上昇の理由の説明資料を受注者に求める場合は公表資料(最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率など)に基づくものとすること
などが示されています。

労務費は原材料価格やエネルギーコストなどと比べ、受注者から価格転嫁を言い出しにくく、転嫁率が特に低いことから、労務費の転嫁に係る価格交渉において発注者および受注者が取るべき行動・求められる行動が指針として示されています。
発注者が本指針に沿わないような行為をすることで、公正な競争を害するおそれがある場合は、公正取引委員会において厳正に対処されます。

◎詳しくは広報紙7ページの二次元コードをご覧ください。