文化 注目ビト

文化財をもっと身近に感じてみませんか?

■注目ビト
西予市明浜町狩江地区 地域おこし協力隊
石積み修繕士
亀井 彩香(かめい さやか)さん
石積み(石垣)の面白さ、奥深さに魅せられ、鹿児島県から西予市明浜町狩江地区に移住した亀井さん。狩浜の段畑の石積みの修繕に取り組みつつ、石積みの観光体験やワークショップ「ときめき!段畑クラブ」を開催するなどして、交流の輪を広げています。幅広い世代に先人たちの知恵の結晶である石積みの大切さを伝え、地域に新しい風を吹かせています。
※「宇和海狩浜の段畑と農漁村景観」は国の重要文化的景観に選定されています。

撮影場所/西予市明浜町 狩浜の段畑

◇石積みで地域にポジティブなアクションを起こしたい!
山の斜面に広がる段畑を支える石積みは、先人の知恵と苦労が詰まった文化財です。私は担い手が少なくなりつつある石積みの修繕に携わりたいと思い、狩江地区の地域おこし協力隊に着任しました。石と土を仕分け、背面の土を整え、石をひとつひとつ積み直す、根気のいる作業の連続ですが、農家さんや地域の役に立てたとき、風景の中で自然の一部になって働くときに大きな喜びを感じています。限られた素材で積み上げるゲーム的な面白さ、環境にやさしい構造、スポーツのような連携プレーを磨く楽しさも魅力で、県内外から見学や体験に訪れてくれる方との出会いも活動の原動力です。
現在、保護されている段畑は、生活の必需品として生まれ、利用されてきたものです。現代を生きる私たちにとっても必要なものであれば自ずと継承されていくはずです。文化財に携わる私たちにできることは、より多くの方がその必要性や有用性を体感できる場を設けること。石積みも今後、民間の技術として再共有し、交流を生む場としてどんどん活用していきます。みなさんも文化財に気軽に触れ、ぜひ何かの手段として活かせないか考えてみてください。実際に見て触れてこそ、先人の〝生業(なりわい)〞も深く知ることができます。身近な愛媛の風景も少し違って見えてくるかもしれません。