健康 市民医学講座 NO.249

◆鶏の生食にはご用心
今治市医師会 松本 尚之

~とある診察室にて~
“5日ほど前より下痢と腹痛があり、全然よくならない…最初は熱があったけど今は下がってる。”
“食べたもので心当たりはある?生ものとか食べたとか?”
“あ、そういえば、10日ほど前居酒屋で鶏刺し食べたわ。”

便培養検査の結果、後にカンピロバクター感染による腸炎と判明しました。
カンピロバクター(Campyrobacter)の学名はギリシャ語で曲がったという意味の(Campylos)と細菌という意味の(bacter)よりきています。
実は細菌性腸炎の半数以上の原因はカンピロバクター感染によるものと言われています。潜伏期間は割と長く2~7日であり、原因としては鶏肉生食(鳥刺し、鶏レバーなど)が主な原因です。季節的なものとしては夏に多く、また若年者(35歳以上はあまりいない)、女性より男性に多い傾向です。家庭内感染では大人から大人へはほとんどないと報告されています(子供→子供 子供→母はあるようです)。
症状としては発熱、下痢、腹痛などで特異的なものはなく、いわゆる感染性腸炎に多いものですが、まれにギランバレー症候群を合併し手足の力が入りにくい、脱力などの末梢神経障害をきたすことがあるので要注意です。
治療としては整腸剤、補液などの保存的治療でよくなりますが、血性の下痢など症状強い場合は抗菌剤投与も行われます。
皆さん、鶏の生食には気を付けてください。必ず火を通したものを口にするように。

※このコーナーの記事は今治市医師会広報委員会のご協力によるものです。