イベント 特集 八日市がつむぐ、まちの物語 -やわたはま八日市40周年-

毎月8日に新町・銀座・千代田町商店街で行われている八幡浜名物の朝市「やわたはま八日市」。じゃこ天やみかん、とれたての野菜など、地域の豊かな恵みが集い、人々の交流が生まれるこのイベントは、昭和59年12月8日のスタートから、今年で40周年を迎えました。
今月の特集では、長きにわたり地域に根付いてきた八日市の歩みを振り返るとともに、立ち上げのきっかけや、現在の八日市を支える出店者、そして訪れる来場者の声を通じて、八日市がつむいできた「まちの物語」をお届けします。

■やわたはま八日市委員会コンシェルジュ
稲田正朗(いなだまさろう)

○心に灯った情熱の炎
やわたはま八日市誕生のきっかけは、昭和55年3月、新町商店街の青年部を中心とした8名が福岡県直方(のおがた)市へ視察研修に赴いたことに遡ります。当時、人口約4万人の商業都市であった直方市では、定期的に「五日市」が開催され、地域に根ざしたにぎわいを見せていました。
この研修で私たちは、単に定期市の運営ノウハウだけでなく、市民を巻き込む情熱や、地域を活性化させようという強い信念の重要性を肌で感じました。特に、五日市の理事の方の「多くの街から視察に来るが、実際に定期市を立ち上げるケースはほとんどない。皆、視察のための視察に終わってしまっている。」という言葉は、私たちの心に小さな、しかし確かな火を灯しました。この言葉が、単なる視察で終わらせてはならないという強い使命感を生んだのです。

○待望の船出
八幡浜に戻ってからは、青年部を中心に何度も議論を重ね、直方市への視察も7、8回を数えました。
そして、こうした情熱と努力が実を結び、昭和59年12月8日、66の参加店とともに「やわたはま八日市」がスタートしました。
立ち上げ当時から掲げている信念は、「お客様の望む時期に、欲しいものを、徹底した特価で提供し、心から喜んでいただく」ということです。この「お客様第一」という精神こそが八日市を成功に導き、地域に認められる礎となると確信していました。 立ち上げメンバーの心に灯った情熱の炎は、40年経った現在も、八日市の精神として脈々と受け継がれています。

■やわたはま八日市委員会委員長
池田博行(いけだひろゆき)

○感謝を胸に未来へつなげたい
「毎月8日といえば八日市」と多くの方に定着してきましたが、残念ながら八幡浜中心部の商店街は、以前のようなにぎわいを失い、後継者不足により、毎年、閉める店舗が後を絶ちません。
しかし、こうした厳しい状況だからこそ、私たちは八日市を続けていかなければならないと強く感じています。
月に一度、お客様に「普段とは違うわくわくするお買い物」を楽しんでいただき、この先10年、20年と八日市を継続することで、八幡浜市の活性化の一助となれるよう商店街一丸となって努力していきます。
「毎月8日は八日市」へお越しいただき、お財布の紐をゆるめて、八日市ならではのお買い物を心ゆくまでお楽しみください。

■来場者の方にインタビュー
・家族みんなの都合がついたので、娘と孫とやって来ました。できたてのじゃこ天や、安くて質のいいタオルをよく買います。お店の方やばったり会った友達とのおしゃべりも、八日市ならではの楽しみです。
・折込チラシを見て、どこのお店に行こうか考えるのが楽しみの一つです。八日市で買った野菜などを近所の方におすそ分けすると、とても喜ばれるので、それがまた嬉しいですね。

■毎月八日市と同日開催 Re本Day(りぼーんでー)
場所:銀座商店街ESPOIRビル
絵本を中心に大切に読まれてきた本をお預かりし、新たに必要とされる方の元へ届けるリサイクルブックスペース企画です。
また、商店街の空き店舗を活用しており、こどもから大人まで誰でも気軽に立ち寄ることができる場所になっています。

■出店者の方にインタビュー
○小西さんご家族(野菜・果物ほか)
お客様と野菜の食べ方や作り方だけでなく、健康の話などの会話を交わしながら商売するのが楽しいです。これからもスーパーにはない珍しい野菜や果物を作って、買ってくださるお客様に喜んでもらえるように努力します。

○まるよ(お菓子・ランチ・果物ほか)
普段は宇和島市周辺のマルシェなどにも出店しています。「遠いところからありがとう」「おいしかったからまた買いに来た」などの嬉しい言葉をよくいただきます。地域に根差した温かい交流を大切にしたいです。

■世代をつなぐ、にぎわいの輪。このまちの誇りを、これからも。
○道の駅「清流の里ひじかわ」(野菜・物産ほか)
「八日市をきっかけに、道の駅にも足を運んでいただきたい」そんな思いから出店を始めました。トマトなどの新鮮な野菜が好評で、お客様からも温かい言葉をいただき励みになっています。これからも心を込めた品々をお届けします。

次回の八日市:12月8日(月)9:00~

毎月8日、商店街は買い物客であふれます。とれたての野菜や果物、特産品を手にとる人々。八日市は、単に品物を売買する場を超え、交流を育む場でもあります。訪れた人々は笑顔を交わしあい、温かいふれあいが生まれます。来場者や出店者の皆さんの声からは、この場所が多くの人々の心のよりどころであり、まちの誇りであるかが伝わってきました。
40年間、八日市は多くの人々の情熱と努力、そして何よりも地域からの深い愛情に支えられてきました。これからも、この大切なにぎわいの輪を守り、次なる10年、20年へと「まちの物語」をつむぎ続けていくことでしょう。