くらし 特集 迫る大地震。生き抜くためには(1)

全員が被災者で、全員が支援者

■東温市はどうなる?
今、この瞬間に起こるかもしれない南海トラフ巨大地震。市内では、地盤の柔らかい谷や重信川沿いで震度6弱、地盤の硬い山地部で震度5強の揺れが予想されており、さらに地盤の条件によっては、最大震度6強のおそれがある。平成25年度の県地震被害想定調査結果では、建物倒壊等で最大126人が死亡し、ライフラインも甚大な被害を受けることが予想されている。
経験したことのない甚大な被害が予想される南海トラフ巨大地震が迫る中、生き抜くためには、自分で自分の命を守る「自助」、地域で助け合う「共助」、行政による「公助」の3つがうまく機能することが重要だ。



平成25年度県地震被害想定調査結果(最終報告)から一部抜粋
南海トラフ巨大地震発生時の東温市の予想最大震度と最大被害
(地震規模の想定…マグニチュード9.0)

■命を救う「人」の力
阪神・淡路大震災では多くの家が倒壊したが、助かった人の8割が自力又は地域の人たちによって救助された。また、能登半島地震では、多くの集落が孤立したが、救援物資が届くまでの間、地域で備蓄していた災害時用の物資で凌ぐことができた。大規模災害時は、こうした「自助」と「共助」が命を救う鍵となる。
市では、物資を備蓄し、避難所の環境を整備し、関係機関との協力体制を築くなど、「公助」の力を鍛えている。しかし、災害の規模が大きいと、その分負傷者や支援が必要な人は多くなり、「公助」が十分に行き届かなくなるおそれがある。そのとき、「自助」、そして「共助」が命を繋ぐのだ。

■「共助」の力を鍛える
災害時に互いに助け合うためには、訓練や顔の見える関係づくりが欠かせない。10月26日(日)に行った市総合防災訓練では、南海トラフ巨大地震を想定し、ツインドーム重信を避難所として、地域住民主体の訓練を行った。まず、先に避難してきた地域住民が、テントや簡易ベッドなどを設置。続いて、避難してくる人の受付や案内をし、怪我人がいれば応急手当を実施。避難所の外では、初めての試みとして、ペット同行避難の受付や、ドローンによる孤立集落を想定した物資運搬訓練などを行った。避難所運営に携わった地域住民からは、「もっとこうすれば…」という提案が次々生まれ、参加者同士で話し合う場面も多く見られた。