- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県上島町
- 広報紙名 : 広報かみじま 2025年6月号
■わたしの上島旅ー第43回ー
◇今月の旅人
お手伝いをしてくれた弓削高生
4月18日、佐島で島四国が行われました。島四国とは、四国八十八ヶ所を写した霊場巡りで、江戸時代半ばから瀬戸内の島々に広まったとされます。
佐島では、遍路道の一部が満潮時に沈むため、旧暦3月21日に行われます。平日でも子どもたちが登校前にお接待を受けられるよう、早朝6時半から始まり、9時にはあらかた手仕舞いです。
コロナ禍で4年中止された間に世話人の高齢化が進み、お接待をする札所も減りましたが、今も島の方々のお話からは、島四国への深い愛着が伝わってきます。
とりわけ心を打たれるのは、佐島南端の蛸崎に、尾道市吉和の漁師さんが船でお接待に来られることです。かつて家船での船上生活で知られた吉和のなりわいと信仰、島々との交流の残照が、福羅湾の美しい光景と相まって、まるで神話の世界のようです。
島四国は、自然への深い畏怖(いふ)と信頼に根ざした巡礼の本来の姿を思い起こさせます。その知恵とこころは、これから大きく変わる社会で切実に必要とされるものだと感じるのです。
汐見の家では昨年から、移住者や学生、ゲストの皆さんとともに、数ヶ所でのお接待を始めました。微力ながら、この尊い文化を次世代へとつなぎたいと願っています。
古民家ゲストハウス 汐見の家 代表 西村暢子