文化 かみじま郷土話 31

■舟形ウバメガシと観音堂を彩る木花
岩城島の祥雲寺には、国重要文化財に指定されている祥雲寺観音堂があります。永享3年(1431年)の建立と伝わっており、京都の金閣寺や銀閣寺とほぼ同じくらい古い建物になります。
本堂裏手の斜面には、愛媛県指定天然記念物の舟形ウバメガシがあります。樹齢は600年ほどと伝わっており、これは観音堂の建立と同じ時期にあたります。歴代住職の手により管理されてきたもので、現在でも年間2回の手入れが欠かすことなく行われています。4本のウバメガシのうち、1本の幹が上に伸び、それ以外は枝を水平に伸ばして地上7m付近で葉群を構成し、伸びた1本の幹を3段に刈り込んで舟の帆に見立てています。背景の瀬戸内海と合わさって海に浮かぶ帆舟に見えることから舟形ウバメガシという名称になっています。本堂裏には展望台が設置されており、この美しい樹形をいつでも眺めることができます。
春になると、積善山の三千本桜を見るために多くの見物客でにぎわいますが、祥雲寺にも桜並木があり、多くの桜が咲き誇ります。また、梅雨の時期には観音堂裏の園いっぱいにアジサイが咲きます。中世の観音堂を彩る桜やアジサイを見に訪れてはいかがでしょうか。

担当:生涯教育課 曽根大地