くらし しまなみ農業だより

■スマート農業技術について
4月13日より大阪市豊洲にて「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに大阪・関西万博が開催されています。IT技術やロボット技術などの社会実装に向けた各国の取り組みなどが紹介されているようです。
今回は農業分野における先進技術(スマート農業技術)について紹介します。

1 スマート農業技術とは
スマート農業技術は、IT技術(コンピューター等の情報通信技術の活用)やロボット技術(作業の自動化)を利用した農作業の効率化、省力化、高品質生産を目指す農業技術のことを指します。具体的には(1)ドローン(無人航空機)による施肥や農薬散布やドローン画像による生育・病害虫診断、(2)農業ロボットや自動走行機械による耕運、播種、収穫などの農作業の自動化、(3)衛星画像、センサーデータ、画像データをAI(人工知能)による生育の最適化、見える化、(4)アシストスーツによる力仕事や作業補助などが開発・実用化されてきました。農業の人手不足や高齢者の負担軽減技術として開発が急がれる分野です。

2 カンキツ栽培とスマート農業
上島町の主要作物であるカンキツとスマート農業について考えてみました。農林水産省のホームページでスマート農業技術の紹介や法整備などが閲覧できます。カンキツ栽培で何とかならないかと考える作業として、夏場の高温下での防除や草刈り作業を考える生産者は多いと思います。乗用の防除機はありますが走行用の園内道が必要で既存園での導入は難しいことから空からドローンによる防除なら可能な園地が多いと思われます(写真1)。自動飛行散布もでき短時間で農薬散布が可能で大幅な作業負担の軽減になります。しかし、課題も多く、効果が手散布よりも劣る薬剤がある、障害物や園地条件で飛行ができない園地が多い(電線、雑木等)、法整備が進み散布できる農薬が増えたが年間防除には至っていない、機体が高価、飛行資格が必要など個人所有で防除利用だけではコストがかかります。しかし、最近、請負業者も増えてきて多少の効果不足と作業コスト(請負金額)に目をつぶればすぐにでも取り組める技術になってきました。また、施肥にも利用が可能で、全国的には水田作や野菜などの大規模経営で利用が増えています。ただ、現状では施設栽培には利用ができません。
除草作業では、遠隔操作ができる自走草刈機や乗用草刈り機もありますが、今回は、無人で除草を行う除草ロボットを紹介します。機体は充電式で自走し、園内の走行範囲はワイヤーを埋め込みます。充電は自動で充電器に帰り充電が出来たら再び走行して除草を行います。除草作業に時間はかかりますが無人で栽培に支障がない程度に草刈りを行ってくれます。導入に際しての課題は、機体が高価であること、電源が必要なこと、傾斜が緩く、土地がある程度均平であることなどが条件となります(写真2)。
その他、カンキツ栽培で利用が考えられるスマート農業機械として、AIカメラを搭載した家庭選別機や持ち上などの力仕事などをサポートするアシストスーツ(写真3)、センサーにより日照や土壌水分などを測定して潅水やハウス換気を無人で行う自動化装置などが製品化されています。

3 おわりに
技術開発は日進月歩で進んでいますが、機械は人が管理して初めて機能が発揮できます。農業は食料を生産する大事な産業です。機械の開発だけで農家が増えるものではありませんが、先進技術を上手に取り入れられる導入コスト低減や環境づくりも重要なことと考えます。

※詳細は本紙をご覧ください。