文化 かみじま郷土話32

■魚島の頭上運搬
写真は、昭和30年頃の魚島で働く人々を撮影したものです。頭の上に荷物を乗せて運んでいる人が写っていますが、これは魚島では「カベル」と呼ばれました。伊豆諸島では「ササゲ」、近畿・四国では「イタダキ」など地域によって呼び方が変わるようです。弓削島や岩城島でもみられましたが、山の傾斜地で物を運ぶのに適した運搬方法であったことから、傾斜地の多い魚島において、より長く頭上運搬の風習が残ったとみられます。
愛媛県歴史文化博物館の記録によると、魚島の女性は、だいたい75kgまでのものをカベルことができたといわれています(平成18年発行『海と島に生きる~昭和・暮らしの記録~』より)。
昭和40年頃までは、こうした技術が生活の中で取り入れられて、収穫した作物や肥桶を頭に乗せて、山の斜面にある畑や集落を往来しました。

担当:生涯学習課 曽根大地