- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県福岡市
- 広報紙名 : 福岡市政だより 令和7年12月1日号
市は、全ての子どもたちの権利や意見が尊重され、健やかに成長できるまちを目指して取り組みを進めています。12月4日~10日は福岡市人権尊重週間です。この機会に、「子どもの権利」について考えてみませんか。
子どもが話し掛けているのに「今忙しいから」と遮ったり、頭ごなしに「それはだめ」と決めつけたりしていませんか。自分の思いや意見を無視され続けると、子どもは、「どうせ聞いてくれないから」と、声を上げることを諦めてしまいます。
子どもと対等に向き合い、その声に大人がきちんと応えることで、子どもは自分が大切にされていると感じます。
■子どもの権利
子どもは、大人と同じように一人の人間としての権利を持っています。子どもたちが自身の意見や考えを表明することも、子どもたち一人一人が持つ大切な権利です。そして、大人にはそれを守る義務があります。
国連が定める「子どもの権利条約」にも、子どもが自由に意見を表明する権利を保障し、その意見を尊重することが重要であると記されています。
■子どもアドボカシー
子どもに寄り添い、意見や考えを表明できるよう支えることを「子どもアドボカシー」といい、自治体やNPO法人などが中心となって取り組みを進めています。子どもたちの言葉にならない思いを受け止め、周りに気持ちを伝えられるよう、必要に応じてサポートも行っています。
■子どもの権利を学ぶ ワークショップ
市は、NPO法人・子どもアドボカシーセンター福岡と共働し、子どもたちが自らの権利について学ぶためのワークショップを、市内の小学校で順次行っています。
南区の玉川小学校で、11月6日に6年生を対象にワークショップが開催されました。講師を務めた同センター長の朝日響さんは、子どもたちに「私たちは、あなたの秘密を必ず守ります。安心して話してください」と語り掛け、子どもには意見を表す権利をはじめ、暴力から守られる権利や教育を受ける権利など、さまざまな権利があることを伝えました。
そして、「自分のこと、家庭のこと、学校のこと、何でも構いません。もやもやする気持ちを、自由に紙に書いてみてください」と1枚ずつ紙を渡し、子どもたちは、普段から感じている気持ちや考えを紙飛行機にして飛ばしました。
参加した子どもからは「何でも自由に意見を言っていいんだと教えてもらいました。好きな色とかも友達と伝え合って、意外な色が好きだったり、一人一人違っていたりして面白かった」「これまで誰にも言ったことがなかった気持ちを、紙飛行機で飛ばしてすっきりしました」など、さまざまな感想が聞かれました。
同校の小野洋一朗校長先生は、「子どもたちは、思いを伝えることの大切さについて、しっかり考えてくれたようです。私たち大人はそれを受け止められるよう意識しなければ」と話しています。
-子どもアドボカシーセンター福岡「こことら」センター長の朝日響さんに話を聞きました。
私たちは、あらゆる子どもたちの意見が尊重される社会を目指して、「子どもアドボカシー」の活動に取り組んでいます。その実現のために、子どもに信頼される支援員の養成や、講座等を通じた普及活動なども行っています。
「うちの子は何も話してくれない」「何を考えているのか分からない」―そんな時は、自分が子どもだった頃に立ち返って、自分がどうしてほしかったのか思い出してみてください。「いつでも話を聴くよ」という姿勢で待ち、子どもが話をしてきた時は、否定せずに最後まで話を聴いてください。
自分の思いや意見を誰かに受け止めてもらえた経験、伝えたい相手に言うことができた経験は、きっと子どもに大きな力を与えてくれるはずです。
子どもたちの意見や考えが尊重され、自分らしく健やかに成長できるよう、一人一人が考えてみませんか。
※NPOの愛称「こことら」には、「こどもたちのこえを信じる(=トラスト)」の願いが込められています
◆子どもの権利条約 四つの原則
○差別のないこと
人種、性別、意見、障がいなど、どんな理由でも差別されず、全ての権利が保障されます。
○子どもにとって最も良いこと
子どもに関することを決める時は、「その子どもにとって最も良いことは何か」を第一に考えます。
○命を守られ成長できること
全ての子どもの命が守られ、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。
○子どもの意見の尊重
子どもは自分の意見を自由に表すことができ、大人はそれを真剣に受け止め、一緒に考え行動します。
◆子どもたちの意見を市政に
市は、まちづくりの方向性を定める「基本計画」にも、子どもたちの声を取り入れています。
約12万人の小中学生を対象に、タブレット端末を利用したアンケートを実施した結果、「自然にやさしく魅力あふれるまち」が最も共感を集めました。子どもたちの意見を参考に、「みどり」を市政の重要なテーマの一つに位置付け、まちづくりを推進しています。
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問い合わせ先:こども政策課
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