- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県行橋市
- 広報紙名 : 広報ゆくはし 令和7年12月号
高齢者の外出を支えるとともに、地域のつながりづくりにも寄与する移動支援サービス、それが「ドライブサロン」です。買い物や日常の外出に不安を抱える方が安心して出かけられるよう、地域と社会福祉法人が送迎バスを連携して運行しています。
行橋市での取り組みは、買い物に困る高齢者を心配した民生委員からの相談が、社会福祉協議会(通称・社協)へ寄せられたことをきっかけに始まりました。地域の課題を共有した社協が社会福祉法人連絡会へ協力を依頼し、連絡会が地域課題解決に向けて協議を重ねた結果、瑞豊(ずいほう)会と和泉会の二つの法人が賛同しました。こうして、地域から生まれた新しい外出支援の形として事業がスタート。
運行には、社会福祉法人が所有する送迎バスの空き時間を活用し、交通手段を持たない高齢者へ買い物などの外出機会を提供しています。現在は、ゆめタウン行橋店・ゆめタウン南行橋店・京築恵みの郷ゆくはし店を中心に、東徳永・道場寺エリアと祗園団地・馬場エリアの二つの地域で月2回定期運行が行われています。
事業の体制は、社協が企画・調整、ボランティア手配、保険関係などを担当し、社会福祉法人が車両と運転手を確保。町内会や民生委員、コミュニティ協議会が参加者の取りまとめを担うなど、複数の主体が役割を分担しています。この協働により、地域全体で支え合う仕組みが形づくられています。
取り組みを重ねる中で、利用者同士の会話が増えたり、地域との関わりが深まったりと、外出支援を超える効果も現れています。このような交流は見守りの一助にもなり、地域と社会福祉法人の連携強化や地域貢献にもつながっています。ドライブサロンは、安心して暮らせる地域づくりを支える取り組みとして、今後の発展が期待されています。
◆車内での様子
買い物の話や季節の話題で盛り上がり、車内は明るくにぎやかな雰囲気に包まれています。「今日は何を買おう」「あそこの店にこんなのがあったよ」など、何気ないやり取りが次々と生まれ、自然と笑顔がこぼれます。おしゃべりを楽しむ声が重なり合い、移動時間そのものが地域のつながりを深める大切な交流の場となっています。
◆ドライブサロンを支える人たちの想い
◇社会福祉法人瑞豊(ずいほう)会 副施設長の堀田さん
送迎バスの空き時間を利用し、地域の皆さんのお役に立てるということで、ドライブサロンに参加しました。初回から多くの方にご利用いただき、「助かったよ」といった声に私たちも元気をもらっています。これからも地域に寄り添いながら、安心して利用できる取り組みとして続けていきたいと思います。
◇社会福祉法人和泉会 理事長の坪井さん
交通の支援にとどまらず、地域の方々が集い、世代を越えてつながれる場をつくりたいという想いで取り組んでいます。「ここに来れば誰かと話せる」「一人じゃない」と感じてもらえることが何よりの励みです。支えられる側が支える側にもなれる、そんな温かい地域づくりにこれからも力を尽くしていきます。
◇民生委員の谷口さん
地域のみんなが気軽に買い物に行けるようにと利用の声かけを始めました。実際に運行が始まると、道中のおしゃべりを楽しみにしてくださる方が多く、本当にうれしいです。まだまだ課題はありますが、地域で力を合わせながら、安心して続けていけれるように、呼びかけを続けたいと思っています。
◇ドライブサロンを支援・調整 社協職員
・六田さん 「送迎バスの空き時間を地域のために」と協力してくださった団体(瑞豊会、和泉会)には、本当に感謝しています。他にも協力して下さる団体を募集しています。
・中村さん 民生委員さんや地域の皆さんの声かけで事業がスタートしました。今後他の地域にも拡大していくには、地域のみなさんの“声”が重要です。
・村上さん ドライブサロンが始まり、地域の方々が集う温かい場所となっています。これからも協力の輪が広がり、もっと多くの方が安心して外出できるように取り組んでいきたいです。
◆利用者の声
・無料で買い物に連れて行ってもらえるのが本当にありがたいです。
・買い物が目的でなくても、みんなに会えるのが楽しみで参加しています。
・参加するようになって、新しい友達ができました。
・続けていけるよう、もっと利用者が増えてほしいと思います。
・おしゃれをしたりお化粧をして出かける機会が少ないのでとても気分転換になります。
問合せ:社会福祉協議会
【電話】23-1111
【ID】0041140
