- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県太宰府市
- 広報紙名 : 広報だざいふ 令和7年6月1日号
■[日本初公開]朝鮮王室ラストプリンセス 徳恵翁主の婚礼調度品
今年は日本と韓国が国交を結んでから60周年の年にあたります。九博ではそれを記念して、開館以来20年にわたって収集を続けてきた百済、新羅、高麗、朝鮮、そして近代にいたる韓国の歴史を物語る至宝の数々を紹介します。
今回の主人公は、朝鮮王室最後のプリンセス・徳恵翁主(トッケオンジュ)(1912~1989)。徳恵翁主は、最近韓国で小説がベストセラーとなり、また映画が大ヒットして、その名が広く知れわたるようになりました。
徳恵翁主は、朝鮮時代末期の国王・高宗(コジョン)の晩年60歳の子で、末娘として愛情を一身に受けて幼少期を過ごしました。ときは激動の20世紀前半、徳恵もやがて1925年(14歳)に学習院女子中等学校に留学、1931年(20歳)には対馬宗家伯爵の宗武志(そうたけゆき)と結婚し、翌年に一人娘をもうけました。
九博で展示する品々は、結婚時に李王家から婚礼調度品として贈られ、対馬宗家に伝えられたものです。徳恵はその後も長年にわたって病を患い、一人娘の不幸、宗武志との別れ、そして1962年の韓国帰国、1965年の日韓国交正常化のあと1989年に78歳の生涯をとじるまで、日本と韓国の歴史のはざまで翻弄されながらも、朝鮮王室最後の王女として強く生き抜きました。
ラストプリンセス徳恵翁主の宝は日本で初めての公開となります。九博が所蔵する韓国文化遺産の至宝を見て、日韓の未来のあゆみに思いを馳せてください。
九州国立博物館 文化財課