くらし 国際交流・韓国

◆韓国の「デジタルデトックス」ブーム?

太宰府市国際交流員
金辛泫(キムシンヒョン)

韓国はスマートフォンの普及率が非常に高く、2022年、韓国の放送通信委員会が発表した「放送メディア利用行動調査」によると、韓国全体のスマートフォン保有率は93.4%に達しており、特に10代から40代まではほぼ100%に近い水準でした。
このような普及率の高さが背景となり、最近韓国では「デジタルデトックス(デジタル断ち)」を試みる動きが若者を中心に徐々に広がっています。その理由は、日常的にスマホやSNSを過剰に使用することによる情報過多、比較文化の浸透、夜遅くまでの使用や通知による睡眠の質の低下、精神的ストレスの増加などが、デジタル疲労やSNS依存の原因として挙げられるからです。
このような状況を受け、韓国政府も対策に乗り出しており、たとえば、「スマートフォン・インターネット過依存予防・解消推進計画」を策定し、実態調査、カウンセリングサービス、教育、広報活動などを実施しています。また、中高生を対象とした「デジタルデトックスキャンプ」や、幼児向けのストーリーテリング型依存予防教育など、様々な年齢層に合わせた取り組みが進められています。2025年には、授業中のスマートフォン使用を原則禁止とする法律改正も可決され、教育現場におけるデジタルとの距離の取り方も見直されつつあります。
このような動きは、日々「つながりすぎている」現代社会において、人々が意識的に“つながらない時間”を求めるようになってきている証とも言えるのではないでしょうか。