その他 〔巻末記事〕走ってきた、あの日から(1)

◆〔インタビュー〕第一回 直鞍一周駅伝大会走者 小田 左右馬さん 復興への一歩

令和8年1月25日、八十回目の節目を迎える直鞍一周駅伝競走大会が、長い歴史に幕を閉じる。終戦直後の昭和二十一年、復興への願いを込めて始まったこの大会は、地域の絆を育んできた象徴でもある。今回は、第一回大会に出場した小田左右馬さんに、創設期の思い出や大会への思いを聞いた。
八十年間の歩みを振り返りながら、走ることが地域にもたらした希望と、次の世代へ伝えたい願いに迫る。

・小田 左右馬(おだ そうま)
湯原地区在住。101歳。若宮町の町議会議員や農業委員などを務めた。第一回直鞍一周駅伝大会の走者。

◇地域が一つになり、復興への一歩を踏み出した
昭和20年の終戦直後、地域は不安に包まれていた。それでも人々は、前へ進む一歩を求めていた。敗戦の爪痕が深く残るなか、地域社会を立て直すには何が必要なのか。その問いに答えようと、直方市と鞍手郡のスポーツ関係者が集まり「スポーツの力で人々を元気づけよう」と立ち上がった。こうして直方体育協会が結成され、その記念事業として昭和21年に第一回直鞍一周駅伝競走大会が開催されることとなる。物資も整わず道路状況も決して良いとは言えないにも関わらず、十五チームの選手たちがスタートラインに立った。直方市役所を発着点に小竹、宮田、福丸へと続くコースは、起伏が多く、選手にとって厳しい道のりであった。しかし、力強く懸命に走る選手の姿を目の当たりにし、沿道に立つ人の表情には久しぶりの明るさが戻っていた。
この第一回大会で走者として参加したのが、小田左右馬さんだ。「直方の選手が速かった。本当に追いつけなかった」と笑う一方で、沿道の声援を受けた瞬間の記憶は今も鮮明だ。「地域が一つになり、復興への一歩を踏み出した」と感じたその時、ただの競走ではない『地域の団結の象徴』としての駅伝の意味が生まれていた。

◇一歩、また一歩と走り続けてきた80年
第80回 直鞍一周駅伝競走大会
この80回大会で幕を閉じることになった直鞍一周駅伝競走大会。地域の復興、青少年の育成を願い、一歩一歩と、多くのランナーたちがタスキをつないできました。
最後の直鞍一周駅伝競走大会をみんなで見ませんか。コースなどの詳細は、1月広報でお知らせをします。
日時:令和8年1月25日(日)、午前10時スタート(雨天決行)
発着点:鞍手町中央公民館前