文化 守り、伝える きじ車の製作技術

■子どもの玩具・お守りとして
きじ車は、九州地方に伝承されている木製の郷土玩具で、鳥の雉(きじ)をかたどった車型をしています。赤や黄など鮮やかな彩色が施されており、子どもが紐(ひも)を付けて引いたりして遊ぶ伝統的な玩具です。雄は赤と緑、雌は赤と黒で塗り分けられ、異なった姿をしています。また、開運、縁結び、家庭円満の縁起物や、子どもを正しい道へ導いてくれるお守りとして古くから愛され、現在でも広く親しまれています。

■きじ車の起こり
清水系のきじ車は、古くから清水寺の参詣土産として有名でした。伝承では、伝教大師(最澄(さいちょう))が唐から帰国する途中、山の中で道に迷っていると、目の前に一羽の雉が現れ、光輝く合歓(ねむ)の木へと案内したとされています。この伝承をもとに、清水寺25代目の住職、隆安(りゅうあん)法印が井上嘉平次(かへいじ)に作らせたのが起源とされています。

■選択無形民俗文化財へ採択
令和7年3月28日、「九州地方のきじ馬・きじ車製作技術」が、「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択されました。その対象地域のひとつに、本市の瀬高町を中心とする「清水系のきじ車」も選ばれました。
きじ車は、伝統的な技術を代々継承する「木地師(きじし)」などの職人によって作られる郷土玩具です。木工細工の技術を生かしたきじ車は、九州地方を代表する郷土玩具の製作技術として貴重であるものの、伝承者の高齢化や生業(なりわい)の変化によって、現在は、福岡県や大分県、熊本県の一部に継承されるのみとなっています。
技術伝承の変容や消滅のおそれが高く、早急な記録の作成が必要であるとして、採択となりました。

■製作技術を後世へ
最盛期には、本吉集落に昔ながらの手づくりの「きじ車」を製作する家が4~5軒ありました。近年では、故・宮本彌一郎(やいちろう)さんが「清水きじ車保存会」会長を務め、清水きじ車の製作に尽力されました。市内で飾られている「きじ車」は、宮本彌一郎さんの銘があるものが多く見られます。現在も、保存会の会員をはじめ、製作を伝承された人々や地域住民の方々によって、技術の伝承が続けられています。

■きじ車を展示します
期間:6/11(水)~7/10(木)
場所:市立図書館ギャラリーkusukusu

問合せ:社会教育課 文化財係
【電話】32-9183