子育て 《特集1》地域とともに育む 高校生の未来伊万里市高等学校支援事業をスタートします(1)

■なぜ市内の高校を支援するのか
市内にある高校は、伊万里高校・伊万里実業高校・敬徳高校の3校で、約1,500人の生徒が学んでいます。一方で、市内高校の一部学科では、定員割れが続き、生徒の確保に苦戦しています。その背景には『市外の高校への進学』があり、小学校卒業後に県立中学校など市外へ進学する児童が約5%いて、さらに市内中学校の卒業生約20%が、有田工業高校を除く市外の高校へ進学しています。
加えて、市の出生数が、この15年間で約45%減少したことや、平成31年に伊万里農林高校と伊万里商業高校が再編統合して伊万里実業高校が開校したように、将来的にさらなる学校再編が行われる可能性があることなど、さまざまな懸念される要素があります。
市は、こうした状況を打開していくため、今年度から『伊万里市高等学校支援事業』を開始しました。
この事業には、単なる教育支援にとどまらない、市の強い想いが込められています。
その想いとは、高校時代に多くの学びや経験を重ねることで、たとえ進学や就職で一度市外に出ても、将来「いつか伊万里に戻りたい」と思える人を育むというものです。
市は、県内トップの工業出荷額を誇り、昼間の人口が夜間の人口を上回る『働くまち』です。企業が数多く立地し、魅力的な地域資源にも恵まれています。しかし、その魅力が高校生に十分に伝わっていないのが現状です。これからは、情報発信を強化し、高校生に地域の魅力を伝えていきます。
具体的には、高校生が地域と関わり、地元の人たちと触れ合う機会を増やします。地域全体の協力のもと、事業者から直接話を聞くことができる『出前講座』や現場を体験する『フィールドワーク』などを通じて、進学・就職に役立つ実践的なキャリア教育を提供します。市内高校に進学したからこそ実現できる、この学びの形は、高校生の未来を『地域とともに育む』ことにつながります。
市は、この『伊万里市高等学校支援事業』を、未来を担う高校生を地域の力で支えていくための『長期的な挑戦』と位置づけ、取り組みを推進していきます。
ここでは、この事業の目的や内容、取り組み、そして、市内3校それぞれの特色ある魅力を紹介します。
皆さん、市内の高校に通いませんか。また、市内高校生を一緒に応援しませんか。

01 高等学校支援事業とは
この事業は、市内高校の魅力を高め、市内高校への進学者を増やすとともに、将来的に高校生が、伊万里市に定住するきっかけをつくることを目的としたものです。
企業をはじめ地域全体が連携し、高校生が地域を知り、地元の人たちと親しむ機会を創出するなどして、伊万里市ならではの新しい学習機会を提供します。
具体的には、高校と地域をつなぐ『ワンストップ窓口の開設』『外部講師の招聘(しょうへい)』『フィールドワーク補助金の創設』さらに地域全体を巻き込んだ『高校応援団の設立』など多岐にわたる事業を展開していきます。


※詳細は、本紙をご覧ください。

1.ワンストップ窓口の開設
市企画政策課に『ワンストップ窓口』を設置し、高校からの企業や地域団体との連携に関する各種相談を受け付けます。伊万里市ならではの学習機会を提供するほか、60講座以上ある、市の各種出前講座について、高校から受講希望があった際に各部署との調整を行います。これらを通じて、市は『高校と地域をつなぐコーディネーター』としての役割を果たします。

2.外部講師の招聘
市内高校のOBをはじめ、伊万里市出身の著名人や市内で活躍している事業者などによる講演会などを開催し、高校生と、成功体験のある人などとの出会いの場を創出します。
普段の生活では、なかなか得られない貴重な出会いを経験してもらうことによって、高校生の『郷土愛の醸成』『やる気喚起』を促します。

3.未来創造フィールドワーク等補助金
市内の高校に在籍する高校生が、地域を学び、地域と親しむ機会の提供や、地域活性化を図る、市内外でのフィールドワークなどの活動に参加した際の費用を補助します。参加者には、進学や就職の際に有利になる『フィールドワーク等実施証明書』を発行します。
また、実施事業を各高校のホームページに掲載し、高校と地域が連携した取り組みを広く市内外に情報発信します。

4.高校応援団の設立
高校生が、企業をはじめとする地域の人たちと親しむ機会を通じて、伊万里市の魅力を知り、将来的に伊万里市での就職につなげることなどを目的として、5月に『伊万里市高校応援団』を設立しました。
参加団員の協力のもと、高校生が、伊万里市ならではのさまざまな学習や体験を行うことができる機会を提供していきます。

▽令和7年7月現在 50団体参加
随時団員募集中
詳細はこちら(本紙2次元コード参照)