- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県島原市
- 広報紙名 : 広報しまばら 令和7年5月号
■笑顔が咲く場所
「人生の達人」
松本良一(まつもとりょういち)さん(70)
昭和30年、六ツ木町に生まれる。地元小・中学校を卒業後、島原農業高校で酪農を学び、家業の跡継ぎとして就農。雲仙・普賢岳噴火災害では2回の牛舎移転を余儀なくされる。噴火災害後、観光振興の取り組みとして始まった上折橋町の砂防ダム締切堤内の芝桜公園の整備に参加し、現在は公園を管理するNPO法人しまばら火張山花公園の理事長として、約5ヘクタールの花の植栽、管理に情熱を注ぐ。六ツ木町在住。
▽しまばら火張山花公園
自然豊かな千本木地区。ここでNPO法人「しまばら火張山花公園」の代表として、広大な敷地いっぱいに季節の花々で人々を楽しませているのは松本良一さんです。
かつてこの場所は、上折橋町の住民の生活や折橋分校に通う子どもたちの姿がありましたが、雲仙・普賢岳噴火災害により砂防ダムの締切堤内となり、住むことはできない場所となりました。
平成8年の噴火活動終息宣言から十数年後、この広大な砂防指定地を活用し、季節の花を楽しめる新たな観光地づくりの取り組みが始まり、被災前にこの地域で酪農を営んでいた縁で松本さんも活動に参加します。農業経験があり、トラクターなどの農機具を所有する松本さんは会の中心メンバーとなりました。「多くの皆さんの支援や協力をいただき、当初は芝桜の定着を目指しましたが、土壌や温暖化などの影響で生育が難しく、新たにコスモスを植えたりポピーやヒマワリ、菜の花など環境に適した花への転換や桜やツツジなどの植栽も進め、季節ごとの花を楽しめるよう、試行錯誤をしながらいろいろな工夫をしてきました。」と、現在に至るまでの苦労を振り返ります。
▽来園者の笑顔が力に
春は桜と菜の花、ツツジ、夏から秋にかけてはヒマワリとコスモスが、公園一面に咲き誇ります。
「今年はポピーを変更してミックスフラワーの種をまきました。初めての試みで心配でしたが、徐々に花が咲き始めています。約10種類の花たちが4月から5月にかけて次々に咲いて長く楽しんでもらえると思います。」と、笑顔で語ります。また、「同じ花でもその年の気候で生育のスピードが違います。開花時期から逆算して種まきのタイミングを考えますが、無事に芽が出て、狙った時期に咲いてくれるか毎年ハラハラしますね。公園は上と下で合計約5ヘクタールの面積がありますが、花の密度にムラが出ないように、目印の棒を立てて一人で種まきをしています。」と、語ります。
行動派でアイデアマンの松本さん。竹灯籠や桜の夜間ライトアップ、公園内のベンチなども松本さんの手作りです。「多くの皆さんに来ていただき、花の名所として定着してきたことはとてもうれしいです。一面の花畑に感激し、癒されて涙を流される方もいます。皆さんに喜んでもらえることがやりがいにつながりますね。そして運営に対して協力や応援をしてくれる方々の輪が広がっていることも心強く感じています。普賢岳を望むこの素晴らしいロケーションで多くの方に楽しんでもらえるよう、これからも頑張っていきます。」と、火張山花公園にかける思いを力強く語っていただきました。