- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県対馬市
- 広報紙名 : 広報つしま 令和7年5月号
■西福寺(さいふくじ)の経典
今回は、令和7年3月21日付けで国指定重要文化財の答申があった、西福寺(上対馬町西泊)の「元版大般若経附経箱(げんぱんだいはんにゃきょうつけたりきょうばこ)」について紹介します。
元版(げんぱん)(普寧寺版(ふねいじばん))は、14世紀の中国・江南(こうなん)地域(長江の南側地域)の杭州(こうしゅう)普寧寺で版木が作成されました。この版木を基にしたお経は、高麗や元からの注文を受け多く印刷されました。西福寺に伝来した版経(はんきょう)もその一つで、高麗(こうらい)の僧侶が1326年に普寧寺へ注文し、印刷されたものです。
高麗の次に建国された朝鮮王朝では、仏教を弾圧していたので、それまで大切にされてきた仏教文物が流出しやすくなっていました。加えて、朝鮮は、倭寇(わこう)対策の一環として対馬と良好な外交関係を保ちたい思惑があり、朝鮮と日本双方の利害が一致したことで、貴重な経典が対馬島主宗貞茂(そうさだしげ)・貞盛(さだもり)の時代(15世紀)にもたらされました。
本経典は全600巻中429巻残っており「元版大般若経」がまとまって現存することは国内でも非常に珍しいことです。また、地域住民に奉納された経箱(1700年作)に納められていることや、伝来後に修理した記録も残されており、地域の人々によって大切に守られてきたことがうかがい知れます。
些細なことでもかまいませんので、疑問や質問がありましたらお気軽にお尋ねください。
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