くらし 12月3~9日は「障害者週間(しょうがいしゃしゅうかん)」です(1)

心(こころ)はフランク
気持(きも)ちを伝(つた)え合(あ)い
受(う)け入(い)れ合う日田市(ひたし)を願(ねが)う
12月3~9日は「障害者週間(しょうがいしゃしゅうかん)」です

「障害者週間」は、障がいや障がいのある人への関心と理解を深め、障がい者があらゆる分野の社会活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的に設定されました。
障がいのある人もない人も、お互いに尊重し合い、ともに生き支え合う社会、「共生社会」の実現に向けて、私たち1人ひとりが障がい者への理解を深めましょう。
今号では、日田市で唯一活躍する盲導犬のレオ君と、そのパートナーで視覚障がいのある山口さんをご紹介します。

■盲導犬(もうどうけん)レオ君(くん)と山口(やまぐち)さんの想(おも)い
30代のころ、盲人協会の人から盲導犬を受け入れてみないかとお誘いを受けました。当時は2人の子どもがまだ小さく、子育てに仕事と手一杯でお断りしたんです。子どもが小学生になり、子育ての忙しさも落ち着いてきたときに家族で話し合い、盲導犬の受け入れを決めました。
盲導犬を迎えるには、1か月間ほど家を離れて、盲導犬訓練施設でしっかりと協同訓練を受ける必要があります。1頭目は福岡県の糸島、2頭目と3頭目は東京の訓練施設の盲導犬だったので、いずれも現地まで行って協同訓練を受けました。
初めて盲導犬を迎えたのが14年前です。穏やかでおっとりした性格のレオ君は3頭目で、3歳のときに日田に来ました。一緒に暮らして4年になります。レオ君は東京の大都会で訓練を受けた盲導犬なので、地下鉄にも乗れます。人混みや車の音は平気ですが、田舎ならではのカエルやセミの声にはびっくりしていました(笑)。
外出時はいつも一緒です。おもにタクシーやバスを使っています。日田では唯一の盲導犬ということもあってか、市内の小さなお店や飲食店では、入店時に声をかけられたり、来店を断られたりしたことがあって、残念でした。
もっと、盲導犬のことを理解してもらえるといいなと、市内の小・中学校で「視覚障がい」や「盲導犬」のことを知ってもらう講演活動をレオ君と一緒にしています。
私は盲導犬と出会って、友だちが増えたし、いろんな人から声をかけられるようになり、世界が広がりました。
障がいがあるがゆえに悩むこともありますが、乗り越えた先に良い世界が待っている、誰かに遠慮するのではなく、「私は社会に参加している!何が悪いの!」という気持ちで過ごしています。
障がいのある人が、もっと外に出てほしい、もっと情報や想いを発信してほしいとも思っています。障がいのある人にもない人にも皆さんに伝えたいのは、“お互い、黙っていては気持ちは伝わらない”ということです。障がいがあると、みんなと同じというわけにはいきません。だからこそ、遠慮せずに、「心はフランク」に、お互いの気持ちを伝え合い、受け入れ合える社会になってほしいと願っています。

▽盲導犬とは
目の見えない人や見えにくい人が行きたいときに行きたいところへ出かけられるように、障害物を避けたり、段差や角を教えたり、安全に歩くためのお手伝いをする盲導犬。
「身体障害者補助犬法」では、盲導犬が目が不自由な利用者と一緒に、電車やバス、病院、ホテル、レストラン等の中に入ることが認められています。
現在、日本では768頭の盲導犬が活躍しています(令和7年3月時点)。国内にはおよそ10か所の盲導犬訓練施設があり、盲導犬として利用者とともに生活を歩むようになるまでには、1~2年の時間が必要です。
盲導犬は基本的に10歳を迎えると引退し、その後はのんびりと余生を過ごします。

▽合理的配慮(ごうりてきはいりょ)とは
手助けや配慮を必要とする意思が伝えられたときに、障がいのない人と同じように行動できるよう、負担が重すぎない範囲で、ルールや設備などの変更や調整を行うことです。
令和6年4月1日に「改正障害者差別解消法」が施行され、事業者(個人事業主やボランティア活動グループ等も含む)による「合理的配慮の提供」が義務化されました。
「合理的配慮」を提供するときには、“話し合い、一緒に考えること”が大切です。どちらかが一方的に、“要求する”、“配慮する”では、「合理的配慮」は成立しません。
障がいのある人と、サービス等を提供する人とで話し合い、折り合いをつける。お互いを理解するためのこの過程が、「合理的配慮」につながります。