- 発行日 :
- 自治体名 : 大分県九重町
- 広報紙名 : 広報ここのえ 令和8年1月号
『部落差別解消推進法10年』
2026年は、部落差別解消推進法が施行されて10年の節目を迎えます。
◆部落差別解消の三つの転機
この法律まで、部落差別の解消に向けた転機は三度訪れました。いずれも社会における差別解消のチャンスとなったのですが、その成果は限定的でした。
1.太政官布告(解放令)(1871年)
明治のはじめに施行された解放令は、差別された人々の身分を廃止し、職業も平等とするものでした。しかし、偏見は続き、差別は完全に解消されませんでした。
2.日本国憲法(1947年)
日本国憲法14条では平等の原則が掲げられ、部落差別の撤廃が期待されましたが、差別は根強く残りました。
3.同和対策審議会答申(1965年)
部落差別の解消は、「国民的な課題」であり、「国の責務である」と明記したうえで、解消に向け「国策として」取り組むことを明記した歴史的な文書で、その後の部落差別解消に向け大きな役割を果たしたものの、特に心理的差別が残るなど、依然として部落差別はなくなりませんでした。
◆「部落差別解消推進法」(2016年)
部落差別解消推進法は、「現在もなお部落差別が存在し、情報化の進展に伴い新たな形態の差別が生じている」としたうえで、「部落差別は許されないものであるとの認識のもと、これを解消することが重要な課題である」としています。そして、国や地方自治体に対し、差別解消に向けた相談体制の充実、啓発活動の推進、実態調査の実施を求めています。
◆ネット社会と部落差別の現状
部落差別解消推進法の背景には、インターネットの普及があります。急速に広まったSNSによる拡散など、事態は深刻化していると言えます。こうした状況を受け、2025年には「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」が施行され、ネット上の差別的コンテンツの規制が強化されました。しかし、いまだにネット上での差別行為は後を絶たず、法律だけではなく、個々人の意識改革が求められています。
部落差別解消推進法施行から10年、そして「解放令」から155年、差別は依然として解消されていません。法の精神を実現するためには、国や自治体だけでなく、私たち一人ひとりが積極的に関心を持ち、行動を起こしていくことが必要です。
