- 発行日 :
- 自治体名 : 宮崎県三股町
- 広報紙名 : 広報みまた 2025年12月1日号
■「学び」を起点に、地域がつながる
地域のコミュニティーである自治公民館は、「共助」、そして「学び」の観点から、非常に重要な存在です。
昔は農作業などの仕事、冠婚葬祭、防災防犯や相互扶助などを、全て自分たちで助け合いながら行っていましたが、現在は、行政や民間企業が担うようになりました。ありがたいことですが、それらが今後も継続されるかどうかは分かりません。いざ何かが起きたときや日常の困りごとが生じたとき、地域住民同士で助け合うことができる「共助」の力を発揮するため、日頃の関係性づくりが重要となります。
さらに自治公民館は「学びの場」という側面も非常に重要です。地域の困りごとに向き合うとき「どうすれば解決できるだろうか」と関係者が知恵を出し合いながら解決の糸口を探ります。その過程こそがそれぞれの学びにつながります。
さらに、自治公民館以外の団体や職場などで得た学びや課題解決のヒントを、自治公民館組織に持ち寄って共有することもさらなる学びにつながります。「共助」の主体としての役割は、こうした「学び」を起点に広がる可能性を秘めています。「学び」というと堅苦しく、日頃行っていないと思うかもしれませんが、日々自治公民館活動に携わっている人たちは、すでに「学び」を深めているのです。
現在、三股町でも自治公民館の加入者数が減少しています。加入者数や加入率だけを追い求めるのではなく、まずは「何のための組織なのか」を考えることが重要です。そして、活動する人々の負担軽減を考え、「何が大切なのか、何を残すべきなのか」を精査すべき時が訪れていると考えます。
南九州大学 教養教育センター
植村秀人(うえむらひでと)准教授
Profile:鹿児島県出身。博士・学術(鹿児島大学)。
南九州大学講師などを経て現職。専門は社会教育・生涯学習学。
■熊本地震に学ぶ~災害と「共助」~
熊本県大津町(おおづまち) 民生委員児童委員協議会
会長 吉田和信(よしだかずのぶ)さん
熊本地震(平成28年)では、大津町も最大震度6強の非常に強い地震に襲われました。当時、民生委員や地域の区長(自治会長)を務めており被災直後に地域を巡回しました。町営住宅の一角で高齢者に毛布を掛ける若者、炊き出しの列で小さな子ども連れの母親に前を譲る人、行方不明のペットを飼い主と共に探す人、そんな住民の姿を見て、一人一人がそれぞれの形で助け合う共助の重要性を再認識しました。一方、障害がある夫婦に「大丈夫ですか」と声を掛けても「大丈夫です」と返ってきたことがあります。声の掛け方一つで、また、日ごろの付き合いや関係性次第では相手が遠慮してしまい、場合によっては生死を分かつこともありえます。大災害を経験した私たちでさえ、共助の大切さを忘れてしまいがちです。最近、震災時に役立った備品を購入しましたが「あの経験を忘れないようにしましょう」という呼び掛けの意味も込めています。「向こう三軒両隣」で助け合いの精神を育むことで、何かが起きたときに必ず役立つと感じています。
今後も、自治会組織での備えだけでなく、住民同士の助け合いの心を育むことを大切にしながら活動していきたいと思います。
■「自分の住む、身近な場所で〝つながり〟を育む」
このまちには、地域のつながりを大切にしながら活動する人たちがいます。自らの意思で、自ら行動する―。そんな人が集まる地域コミュニティーは、さまざまな方法で、より強い〝つながり〟を育んでいます。
ここでは、自治公民館組織から「大平公園整備委員会」(小鷺巣)と「三原青壮年部」(三原)を、自治公民館組織とは別に自分たちの思いをもとに立ち上げた「前目塾」(前目)の活動を例に、今を生きる私たち自身が求める〝つながり〟の形を考えます。
○地元の公園を再整備 小鷺巣で、地域の仲間たちと公園を管理
私たち「大平公園整備委員会」は、平成30年度に小鷺巣自治公民館に加入している人のうち有志で設立した団体です。県や町の補助金も活用して桜やツツジを植樹するなど公園の再整備を行っており、令和4年には念願だった展望台と東屋を建てることができました。大平公園は大正時代から地元住民によって管理運営され、守られてきた場所です。私たちも子どもの頃、この公園で遊んだ経験があります。公園の斜面を手作りのそりで滑ったり、かつては敬老会も催されたりなど多くの思い出があります。展望台や東屋を整備して以降、町内外の小中学校が遠足で訪れたり、地域の皆さまが散歩されたり、子どもたちの遊び場にもなっています。草刈りなどの作業は大変ですが、これからも地域の皆さまと協力し、管理していきたいと思います。
小鷺巣自治公民館 大平公園整備委員会
黒木義仁(くろきよしと)さん
○活動が、地域の人たちとの関係作りにつながる
三原自治公民館の「三原青壮年部」に入っています。現在の部員は30人で、旭ヶ丘運動公園の桜のライトアップや、正月の餅つき、また自治公民館が行う六月灯などに関わっています。特にライトアップは「せっかく三原に桜の名所があるのだから、それを生かして三原を盛り上げていこう」との思いで行っています。私たち青壮年部は、仕事や家庭などのプライベートを最優先に、参加できる人が参加しようという雰囲気があります。ときには体力的に疲れることもありますが、活動を通じて地域の人たちと顔が見える関係を作ることができます。知り合いがいると行事に参加しやすかったり、子どもの送迎などで助け合う関係ができたり、活動が地域の人たちとの関係づくりのきっかけになっていると感じています。
三原自治公民館 三原青壮年部
岩﨑隆司(いわさきりゅうじ)さん
○在校中も、卒業後も保護者同士のつながりを大切に
私たち前目塾は、前目地区から勝岡小学校に通う子どもの保護者有志で立ち上げた団体です。立ち上げは令和4年。せっかく知り合ったのに、小学校を卒業するとつながりが少なくなることから「せっかくのつながりが、もったいないよね」との話になり、結成しました。メンバーは全員前目地区在住。近所に住み、これからも長く住み続けることをイメージして「長く活動する」ことを前提にしています。そのため、まつりの出店や日頃の活動は、任意参加。「行ける人が行く」「飲み会だけでもいいから」といった、緩い関係性を大切にしています。現在は、前目公園の草刈り、六月灯などでの出店や“おねっこ”の協力など、無理のない範囲で活動しています。これからも、次の世代の人たちにも声を掛けながら活動していきたいです。
前目塾 塾長
大宅功介(おおやこうすけ)さん
