- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県西之表市
- 広報紙名 : 広報にしのおもて 市政の窓 2025年5月号
JR鹿児島中央駅前のアミュ広場で3月末、かごしま茶の「日本一達成記念感謝祭」が開かれました。令和6年産の荒茶生産量で悲願の日本一を達成したのを記念してのことです。塩田康一県知事と柚木弘文県茶業会議所会頭のくす玉割りで開会を盛り上げました。
会場には南九州市、霧島市など県内各産地の14店舗が並び、種子島からも西之表市茶業振興会が出店し、3日前に摘み取ったばかりの新茶をはじめ、煎茶、紅茶を持参して試飲、販売の活動をしました。
「種子島茶」の法被を着て、できたてほやほやの新茶を来場者に勧めると、「えっ、もう新茶が出ているの?」とびっくりされました。本土より一か月以上早い「走り新茶」は日本一早い新茶です。来場者の反応にふれながら、鹿児島県が静岡県から日本一の座を奪取するに至った陰の功労者として種子島茶の働きが大きいことを知ってほしいと改めて思いました。
古田番屋峯の公民館わきに立つ「茶業記念之碑」(1950年建立)には公選初代の県知事重成格氏の揮毫により、「番屋峯一帯の茶業が本県茶業の支柱として茶業振興に裨益した功績は大きい」「茶業創始の先達並びに番屋峯を中心として茶業振興に尽力した人々の功績を県下内外に顕彰」との碑文があります。
標高250m前後で寒暖の差が大きい番屋峯を茶業の適地として見出したのは初代熊毛郡長(現支庁長)の牧野篤好(1846〜1923)でした。静岡出身である牧野の勧めで明治後期に静岡から移住した茶業農家は番屋峯の山林を開拓して茶園をつくりました。全国でも優秀茶業地区として発展し、視察団も訪れました。
茶どころの南限に位置する種子島は、静岡から受け継いだ茶づくりを鹿児島に広げ、日本一に押し上げた立役者と誇っていいのです。