- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県屋久島町
- 広報紙名 : 町報やくしま 2026年1月号
■屋久島歳時記~『トイノカンサマ(年の神様)がやってきた!』
その昔、屋久島では正月を迎えるにあたり、家々は隅々まで掃き清められ、飾り物や供え物もすべて調えられて、静かに年の晩、大みそかが訪れました。家族は皆、衣をあらため、神様に礼拝して一年の労をねぎらい、年越しの膳を囲みながら、去りゆく年の気配をしみじみと味わうのでした。
その静寂を引き裂くように、ふいに荒ぶる足音が近づき、雨戸を打ち鳴らす激しい音が響き渡ります。
「三郎はおっか~!」どなるような声とともに、戸の隙間からナタガマがぬっとのぞく、「トイノカンサマ」のお出ましです。
「おっとう、おっかあの言うこと聞かんと、年ば取り戻し、山さ連れてくぞ~」今にも闇の向こうへ連れ去られそうな迫力に、子どもたちは泣きべそをかきながら来たる年への約束を立て、親たちは正体を知りつつも子をかばい、必死にその場をとりなします。
雨戸一枚を隔てて交わされるそのひとときは、子どもたちにとって、去る年をふり返り、新しい年を授かるための誓いを結ぶ、言わば「年の契約更改」。
宮之浦にとって、このうえなく大切な年越しの儀でありました。一時は途絶えかけたものの、かつて名を呼ばれた三郎少年が、成人してから仲間とともにこの習わしを復活させ、今日まで受け継がれています。
まさに「三つ子の魂、百までも」幼き日の記憶は、年月を越えて灯り続けるのです。
問合せ:屋久島町歴史民俗資料館
【電話】42-1900
住所:屋久島町宮之浦1593番地(屋久島北分遣所横)
[開館時間]9:00~17:00
[入館料]大人100円、小中高校生50円(団体割引あり)
休館日:月曜日
町民は入館無料
