文化 町誌編さん室の島のむんがたり

■一年の最初の行事『若水くみ』
年中行事には、季節の折り目を祝うもの、祖先崇拝、豊作祈願など様々なものがあります。新正月は過ぎましたが、旧正月は2月17日なので、2月の今月号にあわせ、正月行事の『若水くみ』についてご紹介したいと思います。
若返りの効果があるといわれ、一年の厄をはらって新しい年を健康に暮らす意味が込められているという『若水』。徳之島町誌によると、かつては元旦にカンギョー(※神川。水神様を育んでいる聖なる川)や、イジュン(※泉)、井戸へ、女の子たちが朝早く起き、水をくみに出かけることとあります。若水を入れるための桶(おけ)、ひしゃくを準備して若水をくんだ後は、桶を天秤棒(てんびんぼう)にかけてかつぐか、桶を頭上に載せて運びました。本町手々集落では、若水をくむ方角を、牛の寝ている角の向きで決めていたと言われています。くんできた若水は、神聖なものとして扱われ、最初に神棚や歳神(としがみ)様に供えられた後、沸かしてお茶を飲み、一年の健康を願うことに使われました。また、書き初めにも用いられたようです。
若水と聞くと、筆者が小学校4年生のころ、学芸会で『チンチナー(※ひばり)と若水』という方言劇をしたことを今でも思い出します。
働き者だったチンチナーは、神様の使いとして、人間に若水を届ける役目を与えられました。しかし、寄り道をしたことでハブが若水を浴びてしまい、人間は残った若水を、髪と眉、爪先にしかつけることができませんでした。チンチナーは神様から罰として天に帰ることを許されず、人間の住む世界を、泣くように低く飛ぶようになった、というお話でした。
歳を重ねることは生きる者としての宿命ですが、『若水くみ』は、その宿命に抗いたい人間の願望が表れている行事なのかもしれません。
(郷土資料館 大屋 匡史)

■郷土資料館休館日のお知らせ
2月:2日(月)・9日(月)・16日(月)・24日(火)
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