- 発行日 :
- 自治体名 : 沖縄県沖縄市
- 広報紙名 : 広報おきなわ 2025年12月号
◆冬のカエルとにーぶやー
最近は雨の日が増えましたね。沖縄では、空気のかたまり(気団)の入れ替わりに伴って、梅雨と冬の2回、雨の多い季節が訪れます。雨に合わせて活動が活発になるのがカエルたちで、産卵に水場が必要な彼らにとっては繁殖のシーズンです。本土では多くのカエルが雪解けから梅雨にかけて産卵しますが、沖縄では梅雨に産卵する種類と、冬に産卵する種類がいるのが特徴です。
日本一美しいともいわれるオキナワイシカワガエル、滝つぼに卵を産むハナサキガエルなどが冬に産卵する代表的なカエルですが、生息地はやんばるに限られます。市内で観察できる冬のカエルとしては、鮮やかな緑色をしたオキナワアオガエルがいます。
繁殖期にはカエルが狭い範囲に多く集まるため、カエルを主食とするヒメハブには絶好の狩りのチャンスで、夜の水辺には多くのヒメハブが集まります。しかし、変温動物のヘビにとって寒い冬の夜は活動しにくく、体温が十分に上がらず動けなくなっているヒメハブを見かけることもあります。ヒメハブの方言名「にーぶやー(ねぼすけ)」はその様子に由来するのでしょう。
沖縄在来のカエルやヘビは、そのほとんどが沖縄固有の希少な生き物です。市内での生息地は減少していますので、見かけたら大切にしてあげたいものです。
(学芸員 刀禰 浩一)
問合せ:市立郷土博物館
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