■交通事故より多い家庭内事故
参考:厚生労働省令和4年人口動態統計
▽交通事故の4倍の死亡者数
交通事故:3,541人
↓4倍以上
家庭内事故:15,673人
▽死亡者の約9割が高齢者
▽死因ワースト3
▽家庭内事故とは
家庭内事故とは『家庭内で発生する不慮の事故』で、床や階段での転倒、浴槽での溺水(できすい)、食べ物や異物の誤嚥(ごえん)、火傷、ガス中毒などのことを意味します。
厚生労働省「令和4年人口動態統計」によると交通事故による死亡者は3541人なのに対し、家庭内事故による死亡者は1万5673人となっており、家庭内事故を原因とした死亡者は交通事故による死亡者の4倍以上となっています。
また、家庭内事故による死亡者の内、65~79歳が31・2%、80歳以上が57・5%と高齢者が9割近くを占め、高齢者の家庭内事故防止の重要性が高まっています。
なお、家庭内事故による死亡者の内、「不慮の溺死及び溺水」による死亡者が42%で、これには浴室内外の気温差が引き起こす「ヒートショック」で心筋梗塞や脳卒中などを発症し、溺死などに至るケースが含まれます。続いて「その他の不慮の窒息」が22・5%で食べ物の誤嚥により亡くなるケースが多くなっているほか、「転倒・転落・墜落」が17・5%で「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」が多くなっています。
■みんなで家庭内事故を防ぎましょう
▽食べ物による窒息に注意
餅による窒息の死亡事故の多くが1月に発生しています。餅は小さく切り食べやすい大きさにしましょう。
食べ物はゆっくりとよく噛んでから飲み込みましょう。
▽入浴中の溺水に注意
湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。
また、浴槽から急に立ち上がらないようにするほか、食後すぐの入浴や飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。
▽掃除中の転落に注意
脚立やはしごを使用した高所作業はできるだけ控え、行う場合は広いステップがついた身体のバランスが取りやすい用具を使用しましょう。足場が濡れている場合は拭き取ってから使用しましょう。
▽着衣着火に注意
寒くなる季節はガスこんろでの鍋料理やストーブなどの暖房器具で火を扱う機会が増える傾向にあります。
袖口が広がっている衣服、ストールなどは火を扱う際には身に着けないようにしましょう。
▽転倒に注意
高齢者の転倒・転落は骨折や頭部外傷などの重大な傷害を招き、これが原因で介護が必要な状態になることもあります。生活環境をチェックして、転倒の原因を減らしましょう。
▽火災からの逃げ遅れに注意
火災からの「逃げ遅れ」により多くの人が亡くなっています。その最大の原因は火災発見の遅れによるものです。火災発生をいち早く知らせる住宅用火災警報器を設置し、逃げ遅れを防ぎましょう。
■熊野市消防本部救急救命士 大江丈司
熊野市消防本部管内で、令和4年中に病院搬送された人は2,095人であり、そのうち65歳以上の高齢者が1,636人と全体の78%を占めています。その中で、3週間以上の入院となった重症のケースは237件あり、主な原因は脳卒中や心筋梗塞、家庭内で起こるヒートショックや転倒などの不慮の事故でした。やはり、病気などの予防はもちろんのこと、家庭内事故の予防も大切といえますね。
熊野市消防本部では女性消防団員が独居老人宅を訪ね、家庭内事故予防のための救急指導を行っています。例えば、浴室内外の温度差を少なくすることを意識するなど、少しの気遣いが大きな事故を防ぐことにつながります。小さなことから少しずつ取り組んでいくことが大切です。
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