■基山発・学生団体「CクリーンズLEANs」最後のおゆずり会
12月24日、基山町立図書館の外で、使わなくなった文房具やおもちゃを交換・譲渡する「おゆずり会」が開催されました。
このおゆずり会を主催したのは、町内の学生ボランティア団体「CLEANs(クリーンズ)」。企画書の作成から広報、運営まで、高校2年生のメンバーたち自身の手によるものです。
◇身近なSDGsを
令和2年の冬、子どもに寄り添ったイベントの開催を通じて、ものを大切にする習慣を広げたいとの思いから、CLEANsが結成されました。当時中学2年生だった内田のぞみさんや堤千紗さんを中心に4名が集まり、令和3年に初めてのおゆずり会を開催しました。
自分は使わなくなった文房具やおもちゃも、誰かにとって大切なものになるはず——。手探りで始めたおゆずり会は、基山のイベントとして定着し、約3年間で12回開催されました。
〔SDGsとは〕
2030年までに持続可能でよりよい世界をめざすための国際目標。目標のひとつに「つくる責任つかう責任」があり、消費者・生産者がともに、限りある地球の資源を守るために努力することが求められています。
◇必要なものを、必要な人に
おゆずり会当日、会場では朝から親子連れなどが開始を待っていました。テントの下に並べられた何十本ものペンや鉛筆、大小さまざまなおもちゃに、子どもたちは目を輝かせます。この会のルールは「必要なものを、必要な人に」。すでに同じようなものを持っていないか、最後まで大切に使えるか、しっかり吟味してお気に入りを探します。
会場では、用意されたシールやビーズ、リボンなどを使って、文房具をリメイク(手を加えて新しいものに生まれ変わらせること)することもできます。譲り受けた文房具を世界にひとつだけのものに変身させ、より愛着を持ってもらうための仕掛けです。
CLEANsの活動は、令和3年には、ボランティア・スピリット・アワード(主催:プルデンシャル生命保険ほか)で、全国で8団体の奨励賞に選出されました。また、令和5年にも同アワードで入賞するなど、地域や社会のために自ら行動を起こす姿勢が高く評価されています。
◇最後のおゆずり会
そんなおゆずり会も、メンバーが大学受験を控えていることから、令和5年12月が最後の開催となりました。
「文房具の回収に協力してくれる人、イベントを楽しみにしてくれる人⋮⋮基山町の皆さんの力があったからこそ、12回もおゆずり会を開催できました。準備が大変だったこともあるけれど、たくさんの経験をさせてもらいました。私の青春そのものです」と話す内田さん。進学後は地方創生について学び、地域のために活躍することをめざしているそうです。メンバーの進路はそれぞれですが、社会課題の解決のために取り組んだCLEANsでの経験が世界に貢献する日も、そう遠くないかもしれません。
◇思いが受け継がれる瞬間
この日、内田さんたちにとって、とてもうれしい出来事がありました。これまでに何度か、おゆずり会に参加していた小学生が訪れ「大きくなったらCLEANsのような活動に取り組んでみたい」と夢を語ってくれたのです。
また、全国で活動する学生ボランティア団体の仲間たちからも、最後のおゆずり会までに譲りきれなかった文房具やおもちゃを引き受け、それぞれの活動に活かしたいとの申し出があっています。
全国的にも注目された、基山発の学生プロジェクト。込められた思いは、確実に次の世代へと受け継がれています。
◆今までありがとう!CLEANsへのメッセージ
・設立前からCLEANsを見てきて、最も感心するのは、その行動力です。イベント前には必ず企画書を提出され、提案やアドバイスにはすぐに対応していただきました。関係各所との調整もしっかり行っておられ、その姿勢には、私たち図書館職員も学ぶことが多くありました。これから、それぞれ新しい環境へと羽ばたいていかれると思いますが、CLEANsのみんななら大丈夫!基山から応援しています。
基山町立図書館の城本館長
・図書館に本を借りに来た日にたまたま開催されていたのが、おゆずり会を知ったきっかけです。子どもたちは文房具が大好きなのですっかりファンになり、開催日をチェックして楽しみに待っていました。今日が最後のおゆずり会と聞いてとても寂しいですが、素敵なイベントを12回も続けてくれたCLEANsの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
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