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野草散歩(157)

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兵庫県新温泉町

■リュウノヒゲ(キジカクシ科)
2024年の干支(えと)は辰で、動物にあてはめると唯一架空の存在である竜ですが、リュウの名前のついた身近な植物の記憶を一つ。
幼い頃、母親について行った村外れの畑。道端の斜面にはリュウノヒゲが敷いたように植わっていました。当時は名前も知らないままに、母から教えられたものなのか、自分で勝手に名付けたのか、土手の斜面に光る綺麗な青い実を竜の目と呼んでいました。
リュウノヒゲはジャノヒゲの別名で、以前はユリ科でしたが、現在はキジカクシ科に分類されています。自生地は北海道から九州の山野の林床に生えるとされていますが、林床などでは気づかなくて、やはり民家の庭先や神社の石まわりなどで見かけることが多いようです。葉は長さ10~20cm、幅2~3mmで根生、花茎は7~15cm、花は7,8月頃、7~15cmほどの花茎を出して径4mmの白い6弁花を4,5個下向きに咲かせます。種は2,3個で藍色をした液果に包まれています。増殖は根元から走出枝(そうしゅつし)を出し、その先に新芽を出して増えていきますが、根が肥大したものもあり、それを「麦門冬(ばくもんどう)」と呼んで咳止めの治療薬として利用されていたそうです。資料によるとこれを成分とする咳止め漢方薬がいまも種々出回っているようです。
余談ですが、神社の祭礼の屋台で「リュウノヒゲ」というお菓子を売っていたので買って食べた、とのお話を聞き、スマホ検索をしてみると、中国の皇帝が好んで食べたことで有名な高級飴菓子とか。リュウノヒゲも多方面で人気のようです。
文・写真 中澤博子さん

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