■高齢者救急について
総合診療医師 西村 壮太(にしむら そうた)
現在、我が国は高齢化という問題に直面しており、救急領域においても高齢者救急の増加が懸念されています。高齢者救急では、脳血管障害等の脳疾患、急性心筋梗塞や心不全等の心疾患、肺炎等の呼吸器疾患、消化管出血等の消化器疾患により救急搬送されることが多いです。さらには運動能力低下による転倒、認知機能低下による事故等での搬送もあります。一度入院してしまうと、運動能力や認知機能がさらに低下してしまい、もとの生活に戻ることが困難となってしまう事例が多くあります。
このような状況下で、高齢者及び医療機関ともに最も良いことは、救急搬送となる事態に陥らないことです。そのためには「予防」が重要です。例えば、高齢者の救急搬送の多くを占める脳卒中や心不全は、高血圧が発症リスクとなるため、コントロールが非常に大切です。高血圧の治療は、発症リスクを低下させます。今一度、予防に目を向けていただければと思います。
しかし、予防をおこなっていても、残念ながら状態が増悪してしまうこともあります。その際は病院を受診されることが多いでしょう。その中で、治療はもちろん重要ですが、例えば心不全を繰り返して入院している高齢者の方が、もうこれ以上の改善は見込めないと判断される場合もあります。その際に考えなければいけないことは、最期の生き方だと思います。これは誰しもが避けて通れない課題です。来院時に急に提案されると焦ってしまうこともありますので、一度ご家族で相談される機会を設けてみるのもよいでしょう。皆さまにとって、より良い生活の一助になれば幸いです。
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