■ナショナルパーク
帯広市長 米沢則寿
私は帯広の森にある「もりの山」の頂上から見る日高山脈が好きなのですが、360度見渡せる築山から望む、広大な畑の先に連なる山々は本当に美しいと感じます。秋が深まるこれからの季節、日高山脈に沈む夕日は絶景だと思います。
6月25日、国内35カ所目、道内7カ所目の国立公園として、日高山脈襟裳十勝国立公園が指定されました。7月20日には、新ひだか町において記念式典が開催され、伊藤環境大臣や鈴木知事をはじめ、地元の代表者が一堂に会し、喜びを分かち合いました。
私たちが日常として眺めている日高山脈ですが、その山並みは襟裳岬から北へ140キロメートルに及び、まさに北海道の背骨と呼ばれるにふさわしい国内最大の国立公園がここに誕生したのだと思うと感慨深いものがあります。
国立公園化の実現は地域の長年の悲願でした。この指定に向けては、平成18年に十勝圏活性化推進期成会による要望を行って以降、周辺自治体(十勝、日高管内13市町村)においても、早期指定に向けた要望活動を行ってきました。日高山脈の原生的な手付かずの自然が、日本を代表する自然の風景地として評価されたことは大変喜ばしく、誇りに感じるところです。
以前、スノーピークの山井社長と対談した際、「世界初の国立公園アメリカのイエローストーンは最寄りの空港から車で数時間もかかるけれど、帯広は車で30分も走れば自然豊かなフィールドに着きますよね」と話しておられました。今回の指定で十勝は、日高山脈襟裳十勝国立公園、大雪山国立公園、阿寒摩周国立公園の3つの国立公園に囲まれた日本でも珍しい地域となりました。とかち帯広空港から日高山脈襟裳十勝国立公園までは車で35分、他の2つの国立公園にも2時間以内で移動することができる環境にある十勝・帯広は、豊かな自然のイメージがある北海道の中でも、殊更(ことさら)魅力のある地域といえるのではないでしょうか。
国立公園というブランド力を後押しに、日高山脈を取り囲む十勝と日高管内の13市町村それぞれが有する地域の魅力がつながり、更に新しい関係性を創出することで、この公園の価値がより高まっていくものと考えます。そして原生的な自然を保つ国内最大の広さを誇る国立公園の大切な自然環境をしっかりと守りながら、日高山脈を全国、全世界に誇りうるナショナルパークへと高めていけるよう取り組んでいきたいと思います。
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